議事録3 ニホンウナギが直面する危機

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評価会議議事録3
ニホンウナギが直面する危機 (1/7)


海部:事務局から考えた5項目(1.過剰な消費、2.違法な漁獲と流通、3.生息域の喪失と劣化、4.海洋環境の変化、5.捕食、6.その他)について考えていきたい。1の「過剰な」としているのは過剰ではない持続的な消費であれば問題ないので「過剰な」と書いた。一般的にニホンウナギについて言われると、1、2をまとめた消費、3 、4が主要因として取り上げられるが、今回はそれとはまた違う形を提案している。このセッションではどのような危機が考えられるか幅広く意見を聞きたい、もう1つはその危機に関して何らかの重みづけができるか、重要度を議論できるかを考えていきたい。ちなみにIUCNの危機を考えるときのスキームがある。それぞれのカテゴリについて当てはまる、当てはまらないかを議論していきたい。ものすごく細かいのでこの場ではスキーム1項目ずつを見ないが、IUCNのレッドリスト評価ではかなり広範な危機を範疇に入れて進めている。我々はよく3つの危機(消費、生息域の減少、海洋環境の変化)に注目しがちだが、それ以外にももしあるのならここで掘り起こしたかったのでスキームを見てもらった。進め方として、スライドの5つに変更や追加すべき項目はあるか。重要度は後で。例えば病気や寄生がヨーロッパウナギでは報告されているが日本ではない。ただ具体的な事例がないのであれば項目の中にいれるのは難しいが、想像しうるものとして後から重要度を決めるうえで議論できれば。この大項目間での優先順位をつけるのは難しいかもしれないが、項目内での要因については議論可能かと思うが、大項目間で議論できるかどうか意見があれば。
(会場異議なし)

過剰な消費

海部:そもそも現在の消費は過剰なのかというような根本的な情報も含め、現状を情報提供いただきたい。消費の動向について教えてほしい。

白石:ウナギの消費量といってもニホンウナギだけでなく、アメリカ、ヨーロッパウナギ、バイカラも入っている。水産庁が出している国内供給量を見ると、供給量が2015年は5万1000t。2002年頃のピークだと考えられている時が約16万tなので、その頃と比べるとかなり減少していることがわかる。ただ、ニホンウナギ以外も含められている。水産庁が2年前に出した4か国共同声明発表時の東アジアの養殖生産量を基にしたグラフ(スライド、山岡注)によると漁獲努力量は入っていないが、養殖量だけを見ると東アジアでは2002年の段階では計算されると思っている。

海部:白石さんの調査ではFAOのデータを使っているが水産庁とは違うデータが出ていると思うが。

白石:FAOデータを基にするとだいぶ水産庁のものとはかけ離れた結果になる。FAOのデータは中国等もニホンウナギとして生産量を出しているが、おそらくそれが元々の桁がかなり違うのと、中国ではヨーロッパウナギも生産されているが全てニホンウナギとして報告されているのであまり参考にできるデータではないかと思う。

海部:FAOのデータと水産庁のデータとのずれは大きくはおそらく中国の言質ずれによるものという事か。

白石:そう。

海部:おおよそ日本で異種うなぎが5.1t消費されていて、アジア全体では?

白石:スライドにプラスして10万t弱だと思う。

海部:これは4か国の分で2015年のデータはここにはない?

白石:水産庁のデータは2012年。スライドは東アジア全体。

海部:これは養殖生産量であって国内消費量ではない?

白石:そう。おそらくほぼすべてのニホンウナギが韓国に消費される分を除いては日本に来ていると思う。値段的なところも含めて。

海部:それはニホンウナギは日本に輸出されている可能性が高いという事?

白石:そうなる。ニホンウナギは日本で養殖されているものと、中国、台湾、韓国でそれぞれ養殖されているもので、韓国と日本で養殖されたものは自国で消費され、中国や台湾で生産されるものの多くは育ててから活鰻として日本へ輸出されると考えられる。

海部:日本では養殖されたニホンウナギが消費されるという事だったが、例えば2015年に5.1t消費されている。吉永先生の調査だと、ニホンウナギや他のウナギの割合はどの程度なのか。定量的な調査は難しい部分もあるかもしれないが。

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