議事録2 ニホンウナギの個体群動態

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評価会議議事録2
ニホンウナギの個体群動態(1/6)


日時:2016/10/29(土)14:00~16:30
場所:中央大学後楽園キャンパス5号館 5136号室

A基準内における分類について

海部:A基準を用いるといってもその中でも種類がある。a〜eいずれかにもとづく個体群サイズ(成熟個体)の縮小(a. 直接観察 b. 適切な指標 c. 出現範囲/占有面積
d. 採捕・採集のレベル e. 侵入生物・病原体・競争者などの影響)が考えられる時、かつ、10年間または3世代時間のどちらか長い方の間に下表のような現象が見られた場合にCR、EN、 VUに評価されることになっている。ウナギの場合、パンダなどのようにa直接観察は使えない。したがってbが使われると思われる。(スライドの、山岡注)赤字は2014年の評価時に使用された基準。黄色は最終結果。bとなるのは漁獲量として利用されると思われる。cについては適切な生息域や分布域の減少に関する論文が出ているので利用できると思われる。dは漁獲圧を示す。eについても考えられる。ニホンウナギの場合は選べるデータがほとんどbなので1番重要なのはb。適切かどうかについてはこの先議論する。基準にはA1~4がある。A1とA2は過去の減少、A3は将来、A4は過去と将来のどちらも合わせた期間が入る。2013年の評価では、ニホンウナギについては将来予測はなされていないので過去について議論された。過去の減少について考える時は、i)減少要因が分っていて取り除く事が可能な場合、またはii)減少要因が分っていてない、あるい要因が分っていてもは取り除く事が不可能な場合で減少率と評価結果のカテゴリが変わる。例えばi)の場合は50%減少していればII類、70%減少していればIB類、という風になる。
現在ニホンウナギはIB類に評価されているが、これは減少要因を取り除くことが不可能で50%以上減少していると推測した結果。ニホンウナギについては減少要因が理解されておらず、取り除く事が不可能という事で良いか。
(会場異議なし)
80%以上減少していればIA類、50%以上減少していればIB類、30%以上減少していればII類という分類にされる状況にあるという事で進みたい。減少要因については後程議論。

世代時間

海部:減少率を考慮する上でタイムスケールを考慮する必要がある。A基準においては個体群サイズ変動を考慮する期間は10年または3世代時間の長い方を取ることになっている。2014年のIUCN評価では10年。元の論文はYokouchi et al. (2009)の銀ウナギの年齢より、♀9.9歳(n=144)、♂8.3歳(n=88) +回遊に1年でおよそ10年。ただ、その後の発表されたSudo et al. (2013)によると淡水域(FW)の ♀10.2歳(n=38)、♂5.5歳(n=13)、(淡水域より成長が早い)汽水域(BW)の ♀7.0歳(n=23)、♂5.4歳(n=18)とされている。このような状況だとニホンウナギの世代時間は何年とするのが妥当なのかを考えていきたい。

青山:その年の気候や場所によって変わるのでどこの平均をとるのかによって変わる。真の個体群の世代時間を取るのは不可能。

Gollock:大まかな平均値であるのは分っているが、使用可能なデータがこれだったので使わざるを得ない状況にある。

青山:そういう意味では10年というのは現場の人間からすると悪くないと思う。

横内:2012年の調査だと、雌は淡水・汽水ともに10歳、雄は淡水・汽水ともに8歳だった。ここに上がっている年齢とほぼ変わらない。また、過去の事業報告書によると定性的な参考データとしか考えられないが雌が7歳、雄が5歳。青山先生がおっしゃっていたように、地域や時期を網羅的に調査しないと真の年齢はわからないというのは理解している。

吉永:真の数字はわからないが、減少傾向にある中で保全という事を考えると、長い方をとっておけば安全なのか。予防的にみたら10年だが減少率としては大きくなる。

海部:どこまで予防原則を強くするかについても関わるのでこれについて議論するのは重要。

箱山:文字通り「10年または3世代時間の長い方」というのは妥当。問題は世代時間をどう見るか。サンプル数が100少し、地理的には南に偏っているのが懸念される。これまでに論文発表されているものを計算してみたところ、単純な平均をとると8歳くらいだった。ただ個体数に差異があるので雄ではなく雌で考えるのも1つだと思う。これは推定値なので今後より調査をしていけば真をとっていくという事になると思う。仮に10年を採用すると、世代時間が3年となるが、ウナギの場合はそれはないと思うので1世代を8年とすれば3世代で24年くらいなので妥当だと思う。

Gollock:3世代の情報をとれたのはアメリカウナギ、ヨーロッパウナギ、ニホンウナギだけ。世代時間については影響が大きいので注意深く扱った。その時は10年としたが1、2年という誤差があっても影響はない事が分った。影響がある重要な数字については慎重に判断すべき。

海部:予防原則を考えた場合、長めにとるか短めにとるかという事だが、2014年評価時には何も考えないのがベストだと思い論文通りに引用した。つまり、引用論文を恣意的に引用しているわけではない。そもそもIUCNの考え方が強い予防原則に基づいているので、さらに選んだら予防原則の考え方が二重、三重になり不適切。例えばSudo et al. (2013)は淡水、汽水域で個体数が比較されていないので平均の仕方が問題になる。したがって、あるデータをそのまま使うしかないと思う。適切な仮説が考えられるなら少し長めに考えることも可能だと思うがニホンウナギの場合なかなか難しいと思う。そうすると、2つの論文だけで考えるよりも、箱山さんが言っていた今までの平均の銀ウナギ年齢8歳を取るのが妥当かと思う。回遊期間と思われる1年については考慮しない。

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