議事録1 IUCNの評価方法について

LINEで送る
Pocket

評価会議議事録1
IUCNの評価方法について(1/2)


日時:2016/10/29(土)10:20~11:00
場所:中央大学後楽園キャンパス5号館 5136号室

海部:IUCNの考え方としては極力情報不足(DD)には入れない。IUCN基準に関する進め方を ウナギに当てはめることの妥当性については議論しない。この場ではIUCNの基準に則って話を進める。どこのカテゴリに入れるかの合意形成や確認はしない。問題は指摘にとどめる。
A基準:個体群サイズの縮小
B基準:限定的な出現範囲もしくは占有面積
ここでいう「占有面積」は植物の生育地あるいは渡り鳥の営巣地の面積を想定している。
ウナギの場合は「出現範囲」は成育場として利用している分布域、「占有面積」は生活史をまわすうえで欠かせない場所。ウナギの場合は産卵場とするのが2013年のロンドンでのワークショップで議論された。ニホンウナギは分布域が広いため「限定的な」というところには当てはまらない。占有面積、つまり産卵場については不明なので議論できない。
C基準:極端に少ない個体数(250個体未満)
ウナギの場合250より多いので当てはまらない
D基準:極端に少ない成熟個体数(50個体未満)
ウナギの場合250より多いので当てはまらない
E基準:絶滅確率の定量的予測値
よってウナギはAかE。もし産卵場の調査が進んだらB基準も関係してくる可能性もある。
IUCNの基準ではすべての基準で情報があるものに関してはそれぞれ評価をして最も厳しい基準が出た基準に合わせてカテゴリを決定する。2014年にニホンウナギがENに指定されたのはA基準に依る。E基準は現在研究が進められているがまだ発表に至っていないので今回はE基準は利用できない。
したがってA基準で進めていきたいと思っている。

山川:今回は情報が十分にないのでE基準で議論できない事はわかるが、本来であれば絶滅確率を直接評価するのが望ましい。AやBはあくまで情報がなかった時の簡易的な基準。今後IUCNで議論を行うならEを目指して進めていくのが妥当。問題はあるが田中(2014)で資源の時系列的評価が出されているので計算できない事はない。したがって将来的にはEで評価していくべき。

箱山:データとして使えるものがあるのならE基準で進めるのに賛成。今回は発表できる段階でないのでE基準でなくても良いが、全くできないわけではない。

海部:レッドリストの目的はあくまで絶滅危惧のリスク評価で、直接的に評価しているのはE。A~Dは間接的かつ代替的な手法であるという意見で自分もそう思う。E基準については今回は情報がないので論じられないが、2018年までにはE基準で使えるようなデータが公表されるはずなのでその時にE基準で議論できると思われる。ただし現行のIUCNの評価の進め方だとより厳しい方が適用されるのでもしニホンウナギがA基準で絶滅危惧種、E基準では絶滅危惧種に想定しないと判断された場合はA基準のカテゴリに入る。二人の意見は今後重要になってくると思うが現行の方法ではより厳しい方が採択される。

吉田:A~Eは全て均一に扱われ最も絶滅リスクが高いものが採択されることの是非は今日は論じないということではなかったか。一方で、魚類のような個体数が多い生物をE基準にあてはめることについてはIUCNの中でどの程度議論されているのか、あるいは変わる可能性があるのか。

Gollock:議論は行っており、適切ではないと思っている。今回Aを使ったのは種ごとに基準を考えるべきだと思っているため。ウナギは生活史が特殊なのと使用可能なデータから考えるとカテゴリにあてはめるというやり方は困難。複数のデータを使う事も可能。データが揃えばEを使う事は最も望ましいと思う。今後はEを使うことは効果的だと思うし議論は多く行われてきたが、情報不足であるので今の段階ではまだ使えない。

海部:どこが合わないのかや評価方法について意見として挙げていくことは可能。今回この場で時間を割いて議論するのは難しいが、後日メールなどで意見を集めて種の保存委員会に通じてIUCNに上げることは可能なので皆さんと考えていきたい。今回は様々な問題はあるがA基準を使っていきたい。「個体群サイズの縮小」という事は変化の幅を評価しているという捉え方をすると実態に近いと思われる。

次のページへ>>(2/2)