社会科学情報のオントロジ  社会科学の知識構造を探る
                   中央大学社会科学研究所 研究叢書 20


        斉藤  孝  編著

中央大学出版部    
A5判 402頁
定価(税別) \4,700
初版発行日 2009/2/25
ISBN 978-4-8057-1321-1
       
 オントロジとは、知識の知識を研究するものであることから「メタ知識論」といえる。また、知識は意味を明らかにするプロセスであることから意味論と一体のものであり、意味の意味を解く方法論である。本書は、そのオントロジを社会科学の情報化 のために活用した。

    中央大学出版部による本書の紹介


 社会科学における情報研究は、自然科学に比べると残念ながら遅れているが、原因の1つには情報の形式化と明示化に関わる研究が極めて少ないことがあげられる。その解決策として、オントロジという方法論が有効であるかどうかを評価する。様々な領域でオントロジを提唱する人々も多くなり、その着想と方法論も様々であるが、共通することは、人間が創造する知の体系とは何か、その知識の姿を明らかにする形式化や体系化のための仮説を作り上げることである。極めて哲学的課題には違いないが、情報学にとっては科学的課題であり、知の研究につながる究極の目標である。

 そのような厳かなオントロジの中で、この研究は、社会科学情報におけるオントロジの仮説を扱う。それは基本的には「存在」という1つの対象から出発し、これを「分けて」多様にしていき「わかる」という道筋を体系化する分類に基づくものである。それは、情報知識を形式化するための知識であるからメタ知識といえる。そのオントロジでは、社会科学情報を構成する概念を明らかにし、それらの概念間の関係性を定義することになり結果として、概念の体系図といえる社会科学情報のタクソノミーを生み出す。日々ITが進化するユビキタス情報時代では、社会科学情報もユビキタス化されて、何時でも何処からでもアクセスできるWebに浮かぶ電子社会科学情報となるだろう。それは意味を解するオントロジ(情報知識)を持つSemantic Webに違いない。
 オントロジによって、社会科学情報の知識構造を探ることができる。その知識構造とは「タクソノミー」という木構造によって体系化される社会科学の主題の領域をいう。ただし、社会科学の全体像を明らかにするという無謀なことを試みわけではない。社会科学に関わる情報を蓄積し検索という情報発信と提供を円滑に行なう、いわゆる情報システムにとって必要な知識構造だけを明らかにする。それは社会科学者にとって、いかにして研究成果である論文や図書文献などの記録を情報化するのかというメタデータを設計するための知識となる。簡単にいえば、Webに記録する情報とはどのような形式や文法の知識を必要とするのかを明らかにすることである。昔からの流儀に従えば、いかにして自分の記録情報をデータベースとして構築できるのかを研究する。


          内     容                 中央大学出版部による本書の紹介
まえがき                 
第1章 研究の全体像
1.1 研究の目的
1.2 オントロジと情報地図
1.3 フォークソノミー
1.4 研究の概要
1.5 オントロジの主題分析
1.6 情報の意味論
1.7 オントロジの理論
1.8 オントロジ情報システム

第2章 オントロジ
2.1 記録・情報・知識のパラダイム
2.2 オントロジ論
2.3 オントロジの条件
2.4 オントロジの役割
2.5 自律的情報発信とオントロジ
2.6 オントロジの教育情報システム

第3章 タクソノミーの設計
3.1 タクソノミーと分類学
3.2 図書分類システム
3.3 シソーラス
3.4 タクソノミー設計の方法論
3.5 キーワード統計分析の方法論
3.6 社会科学の主題領域
3.7 経済学タクソノミーの設計

第4章 社会科学メタデータの設計
4.1 メタデータという文法
4.2 社会科学のメタデータ
4.3 考察

第5章 RDFとSemantic Web
5.1 RDF
5.2 オントロジ言語
5.3 Semantic Webの仕組み
5.4 OWL
5.5 RDFの事例研究

第6章 オントロジ主題分析の研究
6.1 主題分析と索引
6.2 主題オントロジの作成
6.3 オントロジ索引化
6.4 模擬実験
6.5 考察

第7章 SocioInfoSys オントロジ情報システムの設計
7.1 情報システムの全体像
7.2 SocioOntology
7.3 SocioTaxonomy
7.4 SocioMetadata
7.5 データベースとWeb
7.6 SocioIR
7.7 今後の研究

第8章 社交的情報共有論と自律的情報発信論
8.1 フォークソノミーによる社交的情報共有論
8.2 メタデータによる自律的情報発信論

  あとがき
  参考文献
  索引

* 関連図書 *     中央大学出版部による本書の紹介

記録・情報・知識の世界』 中央大学出版部  2004

意味論からの情報システム』 中央大学出版部 2006