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             シンポジウム・養子縁組あっせん法の成立を目指して

 

       目次(発言順) 〔野田聖子〕 〔奥田安弘〕 〔岩崎暁男〕 〔岩崎美枝子〕 〔遠山清彦〕



司会(鈴木博人) 3時になりましたので、本日の「養子縁組あっせん法の成立を目指して」というシンポジウムを開始させていただきます。

 皆さま、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

最初に、衆議院議員の野田聖子さんにあいさつをお願いいたします。

 

開会あいさつ

衆議院議員 野田 聖子

 

 改めまして、皆さま、こんにちは。

 本日は、「養子縁組あっせん法の成立を目指して」というテーマでシンポジウムを開かせていただいたところ、関心をお持ちの国会議員の皆さま、そして関係団体や個人の皆さま方に多数お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 きょうは遠山清彦さんも一緒ですが、本来の国会議員の職務は立法すなわち法律を作ることです。最近はなかなか議員が法律を作らせてもらえなくなった状況の中で、この閉塞感を打破するためには、われわれ議員が原点に戻って、本来やるべき仕事を皆さまや専門家の力を借りてしっかりやっていかなければならない。そんな思いで、きょうは初心に返ってしっかり皆さまと議論をしたいと思っています。

 今回のテーマは養子縁組あっせん法です。「養子縁組」「養子縁組あっせん」という言葉はよく耳にしますが、日本の国にあっては法律にその定めがありません。実は私も祖父のところに養女として行っているわけで、家族間の養子縁組は割と昔から当たり前に行われていました。けれども、そうでない場合の養子縁組の在り方が非常にあいまいになっており、民間の皆さまの善意だけに委ねられています。一生懸命取り組んでくださる方のご苦労の下で素晴らしい縁組が成立しているのでしょうが、そうでない人も当然出てくるわけです。その辺がはっきりしないまま、いろいろな問題が起きているのではないかといわれています。

 今、少子化問題が随分うたわれています。きょうは少子化対策担当大臣だった小渕優子さんが来ていますが、その時のチームをつくったメンバーの1人の、有名な勝間さんが、少子化の原因について面白いことを言っていました。子どもの数を0人から1人にするために必要なことは、未婚・非婚をどうにかすることだ。これには若い人たちの雇用の安定が必要ではないか。1人から2人にするにはどうしたらいいか。これには、育児環境が劣悪で1人目でさんざんな思いをした人が2人目にいけないから、保育等の環境整備をきちんとするべきだ。2人から3人にならないのは完全に経済的な理由でしょう、と。

 今、少子化対策がいろいろ言われている中、養子縁組あっせんを少子化の観点から見ると、その0→1と2→3に当てはまってくるのではないかと思っています。きちんとした適正な養子縁組あっせんができることによって、万が一、未婚・非婚で子を授かった場合に、自分自身は育てられない環境にあったとしても、公的に有資格の人のあっせんによってその子どもたちの命を養親に託することができるのであれば産みたい、という人たちが必ずいるはずです。また、子どもに恵まれても経済的理由で残念ながら中絶をしなければならない家庭があるとしても、そこで思いとどまっていただいて、きちんとしたプロパーな、この国が責任を持って養子縁組をあっせんするからということであれば、勇気を持って命を送り届けてくれる可能性もあるわけです。

 さまざまな少子化対策がある中で、こういう足元を見つめることは既にやっているのだろうと思ってしまいます。しかし、ほかの国々に比べて日本は養子縁組あっせん制度が極めて脆弱(ぜいじゃく)というか、国としてはほとんど責任を持たずに皆さま方に「おんぶにだっこ」でお任せしてやってきて、大変なご負担をかけています。できれば1人でも多くの日本で生まれた子どもたちが、どんな出自にせよ、子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)にうたわれている家庭で育つ権利を与えられるために前向きな法律を作ろうということで、隣にいる公明党の遠山さんから脅しをかけられまして(笑)、野田聖子が一生懸命頑張ってきたところです。

 きょうは奥田さんを中心に法案の中身を説明するとともに、現場でご活躍いただいている皆さま、またご関心のある、勉強されている皆さま方のご意見を聞き、それを膨らませ、立派な法律を生み出したい、そして、この国に生まれてよかったと言えるような明るい一歩を皆さまと共につくれるような機会を持ちたいと思っています。

 短い時間ですが、楽しいひと時を皆さまと過ごしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 以上です。

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司会 それでは、この法案の内容を、中央大学法科大学院教授の奥田安弘さんから説明していただきます。

 

法案の紹介

中央大学法科大学院教授 奥田 安弘

 

 奥田でございます。パソコンを操作しながらですので座って話させていただきます。

 私たち「養子縁組あっせん法研究会」というのは、パネリストに名前が挙がっている両国会議員と私たち大学研究者2人、それから『赤ちゃんの値段』という本を書いた高倉正樹さん、この人は読売新聞の記者ですが、この5人で細々と4年前に始めました。法案の概要をきょう公表するということで、シンポジウムを開催しています。

 まず、資料の説明です。このピンク色の、いかにも野田聖子さんという感じのパンフレット(笑)にいろいろな資料を載せましたが、その他に差し替え用の資料をお配りしています。養子縁組あっせん法案の「概要」および「流れ図」が差し替えとなっています。差し替えといってもマイナーなところだけが変更になったということです。

 

1.米国に渡る日本人の赤ちゃん

 私たちがなぜこの問題に取り組み始めたかというきっかけから申し上げます。

 今プロジェクターで映し出しているのは、1999年から2009年の間に、世界各国からアメリカに養子として渡った子どもたちの数です。2004年に約2万3千人まで膨れ上がった数が、2009年には約1万3千人まで減っています。アメリカは養子が足りない国です。マドンナのように独身の方も養子縁組をする国です。世界各国から養子を集めているのか集まってくるのかよくわかりませんが、なぜこれが減ってきたのかをお考えいただきたいのです。

 養子を1,000人以上送り出している国としては、中国・ロシア・韓国などがありますが、そういう国では養子縁組あっせんの規制をしています。明確な立法として、あるいは行政的な措置によって、養子縁組あっせんを規制し、海外に出ないようにするということをやっています。

 これに対して、わが国はどうなっているのか。こちらの図には、日本からアメリカに渡った養子の数が出ています。同じ19992009年ですが、ほとんど変わっていません。40人前後の数が毎年渡っています。しかも、これよりも何十年も前から大体こういう数で推移してきているわけです。なぜ、わが国は数が変わらないのか。ほかの国は、アメリカに渡る養子の数を減らしています。規制しています。わが国に規制がないことによって、養子の数が足りないアメリカにわが国は養子ビジネスのターゲットにされるのではないか、という懸念があります。

 こういう統計はアメリカではずっと前から公表しています。ヨーロッパにも日本人の子どもが渡っていることが高倉さんの取材などで明らかになっていますが、統計的にわかりやすいものがないので、アメリカの数だけを挙げておきます。

 

2.望まない妊娠

 なぜ、養子縁組あっせんによって海外に子どもが行ってしまうのか。このパンフレットには、乳児の遺棄事件を読売新聞の見出しから抜粋したものを掲載していますが、ほとんど毎月のように遺棄事件が起きています。また妊娠中絶も、未成年者の中絶が増加傾向にあるといわれています。要するに、「望まない妊娠」が増えていることがうかがえます。「望まない妊娠」から生まれた子どもたちについて、親としてはどうしようかと悩むわけです。そこで現れてくるのが民間のあっせん事業者です。

 私たちの法案に民間のあっせん機関について規制を定めていますが、まず現在どのようになっているかを申し上げます。

 現在は、養子縁組のあっせん事業は、社会福祉法によって届け出が義務づけられた第二種社会福祉事業です。ただ、この届け出制には罰則がなく、したがって、実際にあっせん事業を行っていても届け出ていないものがたくさんいます。2008年末現在、全国で届け出た数が13しかありません。しかし、取材によると、無届けで実際にあっせん事業をしている数は20以上あるだろうといわれています。

 こういう事業者に「望まない妊娠」をした母親が相談に行くと、「じゃあ、遠くに赤ちゃんを送ってあげましょう」ということで海外に出るということが多いようです。

 では、受け取り手の側、養親希望者はどうなのか。例えば、アメリカ人の夫婦が短期滞在のビザで日本にやってきて、帰りは日本人の赤ちゃんを抱えて堂々と成田空港から旅立つわけです。その日本人の赤ちゃんがパスポートを持っていたら、出国の自由があるので、入管で対応するのは現行法上も、しかも憲法上も、これを制限することは困難なことです。

 ところが、そうやってアメリカに渡った赤ちゃんがその後どうなったかということについては、いくら情報をたくさん集めても、既にアメリカに行ってしまった者については追跡調査は現実に困難です。例えば、アメリカでは社会保障番号が個人の特定に有効だといいますが、仮に社会保障番号を聞き出していたとしても、アメリカ政府が情報を出してくれなければ居所はつかめないことになります。ハイチの大地震の時に日本のマスコミは、子どもの人身売買あるいは臓器売買さえもあるのではないかと報じていましたが、日本人の子どもについてもこういう危険があるということです。

 

3.プロを育てよう

 国内のあっせんについても問題がないわけではありません。そこで、私たちの法案では、養子あっせんに関する業務についていろいろと規定を設ける予定にしています。

 現在、問題と思われるのは、例えばこういうことです。

 病院で生まれたばかりの赤ちゃんについて、入院期間が1週間として、その1週間の間に、「もう母親の同意を得た」と言って養子縁組のあっせんをしてしまうことです。これには、期間が短すぎて冷静な判断ができないのではないかという問題があります。母親の同意はもっと慎重に取るべきではないかということです。

 またマッチング、つまり赤ちゃんと養親希望者との間の相性についても、本当は専門家がきちんと見なければいけないのですが、それを大人の目から見て、「よさそうな人だ」とか「裕福な生活をしている」などという理由であっせんすることは非常に問題があるだろうと思います。

 要するに、養子縁組のあっせん、つまり、その子どもの運命、場合によっては命さえも左右する問題については、プロの関与が必要ではないか、医療行為に準ずるような慎重さが求められると思われます。そこで、私たちの法案では、養子縁組のあっせん業務についてさまざまな規定を用意しています。

 「あっせん機関」、私は先ほどから「あっせん事業者」とも言っていますが、そういう言葉を聞くと、いかにも「悪徳ブローカー」というイメージがわいてくるかもしれませんが、すべてがそうだというわけではありません。しかし、中には養子縁組のあっせんで、特に海外へのあっせんについて、寄付金名目で多額の金銭を要求する事業者もあります。そこで、私たちの法案では、手数料・報酬などについても厚生労働省が基準を設けるべきことを定めています。

 オランダ在住の日本人に養子をあっせんするといって、1人550万円を要求した事業者がいることも報じられています。そうかと思うと、確かに善意の方々もたくさんいらっしゃるわけです。実親の出産費用だけを養親希望者に負担してもらい、あとはボランティア的にあっせん行為をしている方々もたくさんいらっしゃいます。

 しかし、善意の行為だからというだけで、医療行為にも準ずるような養子縁組あっせんを現在の罰則のない届け出制で済ませてよいのか、という疑問を強く感じます。そこで、私たちは、民間あっせん機関については許可制にし、許可を受けないであっせん事業をした場合は罰則を科す必要があるだろうと思っています。許可の条件としてはいろいろなものが考えられますが、特に先ほどから申し上げている専門家の関与ということからいうと、例えば社会福祉士のような方が必ずあっせん機関の中にいることが重要な要件になってくるだろうと思います。

 

4.児童相談所の役割

 続いて、もう1つ。民間だけではいけないのではないかということで、児童相談所(児相)によるあっせんはどうなっているのか。児童相談所は昔から養子縁組のあっせんをしているのではないかと思われるかもしれません。これについて、わかりやすい例を1つ挙げます。

 最近、不妊治療がうまくいかなかったということで養子縁組を希望する例はかなり増えているようです。そういう方々にとって児童相談所は一般的にあまり評判がよくないといわれています。厳密に調べたのかといわれると、そういう調査は非常に困難だからできませんが。どういうことかというと、児童相談所では、実親が養子縁組に同意していないから、養子縁組のあっせんはできないといわれる。2歳までは障害があるかないかがわからず、後から障害が明らかになると文句が出るからといって、2歳までの子どもについては養子縁組のあっせんをしない、里親委託もしない。

 それでは、「望まない妊娠」をした、あるいは養子縁組に同意してもいいと思っている実親のほうはどうかというと、この人たちにとっても児童相談所は非常に使いにくいと思われているようです。例えば、次のような問題点があります。子どもが生まれる前、出産前の相談は大事ですが、児童相談所では子どもが生まれてからでないと相談に乗ってもらえない。また、児童相談所は基本的に都道府県単位なので、仮に養子縁組をあっせんしてもらったとしても、養親になる人は同じ都道府県の中、あるいはもっと近くの人になってしまうだろう。本当はもっと遠くのほうで養親を探してほしいけれども、都道府県間の連携がない。

 そういうことで結局、あっせんを頼むとしたらむしろ民間のほうに行く。または、民間のあっせん機関も全国どこにでもあるわけではないし、あるいはそういうあっせん機関の存在を知らないがために思い余って子どもを遺棄してしまう。そういうケースが多いのではないかという推測ができるわけです。

 では、児童相談所が要保護児童の里親委託とは別に養子縁組のあっせんそのものを行うためには、あるいはあっせんを活性化するためには、どのようにすればいいのか。

 私どもが考えているのは、各都道府県で少なくとも1カ所は専門部署を持った児童相談所にする必要があるのではないか、ということです。こういうことでもしないとなかなか活性化しないし、都道府県間の連携、さらには民間のあっせん機関との連携をやるための中心的な組織が必要なのではないかと思っているわけです。きょう、パネリストでいらっしゃる岩ア美枝子さんのおられる家庭養護促進協会は児相と民間あっせん機関との連携のよい例ですので、後でお話しいただきたいと思っています。

 

5.あっせん法の必要性

 今のところ、「養子縁組のあっせんにおける児童の保護に関する法律」という名称を考えていますが、こういう法律が必要であることは、以上の話によって明らかになってきたかと思います。

 わが国の養子縁組は年間9万件くらいあるといわれていますが、その多くが親族間養子です。未成年の他人間の養子は3%以下であろうと。そのわずかな数の養子縁組について、日本政府は子どもの保護をどう考えてきたのか。

 例えば、子どもの権利条約の政府レポートを見ると、「家庭裁判所が関与しているから大丈夫である」「普通養子縁組でも、未成年者については許可が要るし、特別養子縁組は家庭裁判所の審判によって成立するから十分に子どもの保護は図られている」と言っています。しかし、家庭裁判所は申し立てがあって初めて動き始め、そして法律的に養子縁組が成立したらそこで仕事が終わりなのです。

 養子縁組は非常に長いプロセスがあります。まず、申し立てをするまでに、養親候補者を探さなければいけないし、子どもとのマッチングをする、相性を見ることも必要です。場合によっては、裁判手続きを手伝うことも必要になってくるかもしれません。さらに、法律的に養子縁組が成立しても、ポストアダプション(養子縁組後のケア)の問題があります。親子関係は、例えば6カ月の試験養育をしてそれだけで簡単にでき上がるというわけではありません。さらに、例えば、成立から半年なり1年なりについても専門家によるサポートが必要でしょう。しかし、家庭裁判所はそういうことをやってくれません。したがって、民間のあっせん機関や児童相談所がそういう養子縁組の長いプロセスをサポートしていく仕組みが必要でしょう。

 私たちは、そういうことでこの法律を提案しているのです。

 日本人の子どもが毎年40人、アメリカに渡っています。それは、日本では養子をもらおうという人が少ないからではないか。普通の人は大体そう考えてしまうのですが、実はそうではありません。

 民間のあっせん機関の中には海外を優先するところもあります。そういうあっせん事業者がホームページを作っていて、それをよく読むと、海外にしかあっせんしないということを堂々と言っています。国内で養子をもらいたいと思っている人たちは、そういうところに行ってもなかなかあっせんしてもらえず、そうかといって児童相談所に行っても、「養子縁組に出せるような子どもはいません」と言われます。

 つまり、養子縁組の需要も供給もあるのにその出会いの場がないということです。そういう出会いの場があって、需要と供給がうまくマッチして適切な形であっせん行為が行われるようにしなければいけないだろう。民法には養子縁組法が確かにありますが、それは家族法としての養子縁組法です。私たちは、児童の保護のための、福祉のための養子縁組あっせん法が必要であると主張しているわけです。これによって、毎年40人のアメリカに渡っている子どもたちが限りなくゼロに近づくことを目指しています。

 以上で、法案の説明を終わります。

 

関連質疑1

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現場の声

 

司会 この後、プログラムでは岩ア美枝子さんの名前が先に出ていますが、まず岩崎暁男さんにお話しいただきます。先ほど奥田さんが「長いプロセス」とおっしゃいましたが、まさにその長いプロセスをずっとたどって、今もまだたどり続けているというご経験をお話しいただきます。

 

I 養親の立場から

岩崎 暁男

 

 座ったままで失礼します。

 当事者の立場からということで話をさせていただきたいと思います。岩崎暁男と申します。

 私は養親の立場です。育てられた立場の子どもが来て話したほうがいいのかなと本当は思っているのですが、2人の子どもたちに「きょう、こういうことがあるというので話してくるんだよ」と言ったら、「おやじ、頑張ってこい」と言われました。その応援の声を受けて、私の与えられた時間は10分ですが、その中でお話しできればと思っています。お手元に「養親の立場から」という2枚物のプリントがあります。それに沿ってお話しいたしますので、ご覧になっていただければと思います。

 

1.家族構成と養子縁組前後の経緯

 私どもの家族構成です。

 結婚して5年くらいたってから、妻が不妊治療を始めました。結婚前から本人はその気配があるということは申していました。養親希望者は大体そうだと思うのですが、私も例えば幼稚園や小学校の親子競争にすっかりあこがれているわけです。それも早いうちに親になりたいということもありました。だから、私どもは8年目に養子縁組をしようと決意しました。

 私どもの場合は、子どもは生後6日目と22日目でした。この期間がどうかということがあるかもしれません。これは養親のエゴかもしれませんが、早く自分の色に染めたいという気持ちがあるので、私どもはそういう面でも新生児ということにかなりこだわったところがありました。

 当初から縁組をするならば必ず2人以上にしたいと思っていて、最初に娘、その後に息子、という形で縁組をしました。2人目の子どもとの縁組を迎えた直後に、妻が妊娠していることがわかりました。その当時は特別養子の制度がなかったので、戸籍上は娘が「養女」、息子は「養子」、私ども夫婦の間に生まれてきた子どもが3番目にもかかわらず「長男」という記載になりました。しかし、その後、改めて特別養子の手続きをやり直し、現在では、「長女」「長男」「二男」という記載になっています。またその7年後に男の子が生まれたので、今は6人家族です。

 

2.縁組告知

 縁組をした者としては告知という問題があります。

 当初から早い段階で告知をしようということで、6歳をめどに考えていました。6歳の子どもにわかるように話さなければいけないわけです。息子はおしゃべりな子どもでした。前の日の夕食のおかずを隣のおばさんに話してしまうような子どもでしたから、どうしても、「これはとても大事な話だし、ほかの人に話してもわからないかもしれないから、話しちゃ駄目よ」と言わざるを得ません。しかし、やはり子どもは敏感です。親から話されたことにマイナスのメッセージがあるということを子どもなりに受け止めていたと思います。

 子どもとはそんなにしょっちゅう縁組のことについて話をしないのですが、時折話す時には、「告知が早くてよかった。そうでないと、おれたちはだまされたことになるからね」ということは申しています。

 

3.周囲への対応

 ある日突然新生児が来るわけですから、周囲の人にどう語るかということがあります。迎えた当時は、近所の方々には養子縁組を選択したのだということを話しました。しかし、やはり周囲の好奇心から守りたいという気持ちが強かったので、娘、息子を迎えるたびに引っ越しをしました。今は東京の西側に住んでいますが、千葉などに、距離をかなり意識して引っ越しをしました。

 どうも子どもたちは自分が養子だということを話していないようです。相当親しい仲の友達にも話していないということは、子どもと話していてわかります。

 

4.試しの行動

 この後、岩ア美枝子さんから話があるかもしれませんが、俗に「試しの行動」というものがあります。私どもの場合は新生児だったので、幼稚園や小学校の時に赤ちゃん返りをするとかそういうことは全くありませんでした。しかし、本番は思春期の時にちゃんと来ました。

 息子の場合は、中学、高校の時、もう本当に徹底的に反抗してきました。「これがおれなんだぞ。これでもおれを受け入れるか」ということを前面に出してきました。真っ白いあるいは特攻服のようなものを着て、中学のころからたばこをすぱすぱと吸ったり、警察の世話になったり、もう本当にその6年間で親としてしっかり鍛えられました。大学に行くような勉強は全くしていなかったのですが、本人も何か転機が欲しかったようで、北海道の大学に行くということで一人、ぽんと行きました。それ以来、非常に落ち着いています。

 一方、娘は、親の気持ちを察する子で、高校を卒業するまでは優等生を通してくれました。周りからは「いい子ですね」と褒められました。しかし、大学に入って突然、優等生をやっているのが馬鹿らしくなったのだと思います。まさしく手のひらを返すように、特に私に対して徹底的に、反抗ならいいのですが、無視してきました。話しかけても、「きもい」「うざい」「あっち行け」です。私のことを「お父さん」と言わないで「おとう」と言うのですが、娘からすると、「おとうに話しても何にもわかってもらえないから」と。本人は本当にそう思っているのだと思います。そういう形で大学4年間はすっかり突き放されたのですが、今は社会人になってだんだん、私のイメージする娘像になりつつあります。

 

5.生みの親との再会

 アメリカでは、「縁組をして幸せな子は生みの親に会いたがらないが、幸せでない場合は会いたがる」という俗説が言われたことがありました。

 私どもは2人の子どもを全く同じように育てたのですが、レスポンスが全く違いました。

 娘は、こういう話ができるころになってから、高校や大学の時にはそういうことに話を振っても、「会いたくない。会う気は全くない」と。言葉はあれですが、自分が捨てられたという気持ちを非常に持っています。だから、非常に怒りに近い気持ちを持っています。縁組そのものも、「これっていいの?」という言い方をすることさえあります。

 一方、息子です。特別養子制度の中では審判書に生みの親のバックグラウンドが、審判書によって違いますが、若干書かれます。私どもの息子の場合は、血縁のある兄・姉がいるということまで記載されていました。そのこともあったせいか、息子のほうは会いたがりました。日本のこういう制度はしっかりしているなと思ったのですが、審判書をたどって生みの親を追跡したら、戸籍係の担当者も好意的な方で、生みの親を捜してくれました。

 私のほうでかくかくしかじかなので会ってもらえないかと手紙を出したところ、会いたいとすぐに返事をいただきました。ということで、私と息子で、愛知県だったのですが、そこまで出向いて、息子は再会を果たしています。

 息子は、私のように背が高くてひょろひょろとしていなくて、プロレスラーのようながっちりした子ですが、会う直前に足ががくがくしているのがわかりました。「おやじ、こんなに緊張したこと、ないよ」と。本当にそれにすべてが込められていると思いました。私は、最初の場面だけ会って、あとは実の親子2人にして、東京に戻ってきました。その後、息子はその親とは特に連絡は取っていないと私には言っていますが、私はまあそうだろうなと思っているだけです。

 

6.心の「傷」への配慮

 娘、息子は26歳、24歳という年になっています。私は、この2人の子どもはそれなりに、親ばかも含めて言うと、ちゃんと育ってくれたと思っています。しかし、信じられないほどもろい面も持っています。それを見るたびに、本人の意思の介在しないところで変則的な生き方を選択させられたわけだから、胎教だとか胎児の時のことなどと言いますが、やはりそういうものがどこかに残っているのではないかということを感じます。先ほど申し上げた、子ども自身がかなり親しい人にも言っていないということはどういうことなのか、ということを考えさせられます。

 私の子育ては終わったとは思っていません。まだまだあります。しかし私は、親だけでなくて、法律あるいは先ほどのお話にもありましたが児童相談所という社会のシステム全体で子どもを育てていき、単に橋渡しだけでなくその後の、私は「心の傷」という言い方をあえてしましたが、その「心の傷」に対応できるシステムを社会全体として作っていかなければいけないのではないかと思っています。

 持ち時間の10分になりましたので終わりますが、早口ですみませんでした。

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司会 それでは、それを支えたり、あるいは出会い、マッチングを用意したりという活動をされている、大阪の家庭養護促進協会の理事、岩ア美枝子さんに、また違う立場からお話しいただきます。

 

II 社会的養護としての養子縁組の現場から

社団法人家庭養護促進協会理事 岩ア 美枝子

 

 ご紹介いただきました岩アです。

 持ち時間が10分です。私は3時間くらいはへっちゃらでしゃべる人なのですが、もうそれだけでどうしようかと思っていますので、文章を読ませていただきます。3枚目の資料を時々のぞきながら聞いていただければと思います。

 

1.家庭養護促進協会とは

 

 家庭養護促進協会は、昭和36年に発足し、神戸と大阪に事務局を置いています。いろいろな事情で親に育てられない子どもたちのための里親開拓運動「あなたの愛の手を」を、50年近く展開してきた民間団体です。

 「あなたの愛の手を」という運動は、昭和37年より神戸新聞社生活部、昭和39年より毎日新聞大阪本社社会部と兵庫県神戸市・大阪府・大阪市の各児童相談所とタイアップして、里親を必要とする子どもを新聞紙面に紹介し、それぞれの子どもにふさわしい里親を公募しています。

 昭和50年くらいから、養子縁組を前提とした里親の開拓、マッチング、非血縁親子関係の構築、告知等の指導を行ってきました。両事務所で既に2,233人の子どもたちが里親に引き取られ、そのうち1,623人の子どもが養子縁組されています。このうちのざっと1,000人が、大阪事務所が担当した子どもです。

 

2.大阪における社会的養護としての養子縁組あっせんの実状

 

 大阪における社会的養護としての養子縁組あっせんの実状をお話しします。

 協会は発足当時より、「子どもが健全に育つためには、特定の大人との安定した信頼関係の継続が必要である」ということを活動の基本としてきました。「愛の手」運動の当初の目的は養育里親(短期・長期)の開拓にあったのですが、昭和42年をピークに養育里親の希望者が激減しました。

 42年というのは高度経済成長政策がとられた年で、いわゆる「三種の神器」から「3C」時代へ突入していました。しかし、1人の子どもを里親として引き受けて里親手当が5001,000円の時代です。それではカラーテレビも車もクーラーも買えません。そういう状況の中で、養育里親のなり手はまさしく激減しました。

 それまでは、掲載された50人の子どもすべてが里親に引き取られました。最初の4〜5年はすさまじい成果があったのですが、42年をピークにどんどん減りました。ただ、それでも相当の申し込みが残ったのが、養子縁組を希望する、子どもに恵まれないご夫婦でした。

 そういう状況の中で、特に大阪府・大阪市の児童相談所長は、実親の引き取りが困難だと予測される子どもの背景をよく調査した上で、積極的に子どもの福祉としての養子縁組を、普通養子法下ではありましたが、「愛の手」欄を利用して進めようと考えました。特に大阪事務所では、昭和40年代後半から50年代、60年代に入ると、取り扱う子どもの9割が養子縁組を必要とする子どもになりました。

 対象となる子どもは、棄児・置き去り児は当然です。10歳代の未婚の母は、50年代の中ごろから平成5年くらいまでは結構多数いました。そうした十代の未婚の母から、あるいは正式の婚姻外で生まれた子どもであるがゆえの養育拒否や養育不能という理由。それから、最近多くなったのが覚せい剤使用による拘禁です。もちろん窃盗による拘禁もありますが、覚せい剤が増えてきました。経済的理由も当然です。親の行方不明、特に母親の行方不明。離婚。その他いろいろな理由で養子に出されています。

 今、日本では長期養育里親がごく普通の里親だととらえられています。「子どもが健全に育つためには、特定の大人との安定した信頼関係の継続が必要である」。「特定の大人」とは通常、実の親だから、実の親が何らかの理由で養育できない時は、できるだけ短期間に親の問題を解決させ、親と共に生活をさせるのが、社会的サービスの必要なところです。そうできないケースについては、「特定の大人」に実の親がなり得ないわけだから、速やかに法律上の親を見つけてやることが子にとって一番大事なことだと大阪では考えています。だから、実親による面会がなく引き取りの見込みのない子どもについて、親が行方不明であれば祖父母・おじ・おば等を後見人にして同意を取りつける努力をした上で、養子縁組を必要とする子どもとして常にリストアップし、「愛の手」欄に掲載してきました。特別養子法の施行後は、6歳になるまでに何とか養子縁組される機会が与えられるように努力してきました。

 その活動現場の問題は、養子候補児の親の背景が年々複雑になったことです。養育できないことは明白にもかかわらず、特別養子における親の同意を取りにくいケースが最近とても増えています。

 例えば、こういうケースがあります。夫によるDVで、あるいは夫が働かないでお金を入れないために妻が思い余って家を出てきた。婚姻関係は継続している。働けるところはどうしても、大阪に出てきて水商売。そこでたまたま親しくなった客とひとときの安定を得たいという結果生まれた子どもがいる。戸籍上は夫の子になる。実の親は、どこの誰かもほとんどわからないまま、妊娠を告げるとともにもう会いにやって来ない。

 特別養子は、両親の同意が必要で母親の同意だけでは済まないので、戸籍上の父つまり夫の同意を得るか、戸籍上の父つまり夫との親子関係不存在確認の裁判をして母親だけの同意で縁組するか、です。ただ、DVの夫からの離婚はなかなか成立しないので、動かしにくい子どもが増えています。

 子どものほうにも身体的、心理的問題の深刻化が見られます。ミルク・サバ・卵などにアレルギーのある子については、「クラシックな子やね」と私たちは申しますが、最近はさまざまなアレルゲンがあり、それによる皮膚疾患などを持っています。それから、肝炎については、B型肝炎がとても多かった時代がありますが今は少なくなり、親から引き継がれたC型肝炎が結構あります。先天性梅毒の子どもは、いつも一定の割合でいます。発達障害も、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アスペルガー症候群、高機能自閉症とあります。すさまじい愛着障害を持っている子どもも増えてきました。このようにさまざまな子どもたちの問題が明らかになってきていて、養育する側からすれば決心をしにくいケースが増えているといえます。

 養子縁組を希望する申込者は、住宅のドーナツ化に伴い、まず大阪市から消えました。大阪府からも減少するに従い、全国からの問い合わせや申し込みを受けるようになって、北は北海道から南は沖縄県まで受け付けていますが、辛うじて年間250300件の申し込み件数を横ばい状態で維持しているのが精いっぱいです。決して数が多いというわけではありません。

 不妊治療の技術の発展に伴い、治療を試みる夫婦の増加に加え、治療期間の長期化などにより、申し込み夫婦の高齢化が著しくなっています。3040歳代の健康な夫婦が申し込んでくる例は極めて少なくなりました。今や45歳の妻に50歳にかかる夫というカップルが主流を占め始めています。もちろん、いろいろな申し込み者はいるのですが、この10年間に正規分布の頂点の年齢が、妻なら15年くらい前は35歳だったのが40歳に変わり、もうそろそろ45歳に変わりかけています。申し込み者の高齢化はわれわれにとってとても大きな問題になっています。

 子どもを養育したい理由も、単純に「子どもが好きで、子どもの養育そのものを楽しみたい」とおっしゃるのですが、それ以上に「夫婦関係を何とか維持させ、残された人生の生きがいとして養子を育てたい」「子どもが産めない喪失感を代償したい」ということが、かなり大きな問題としてあります。

 私は、そういう理由がいけないと思っているわけではありません。そもそも、養子縁組を欲する夫婦は、「エゴイスティックな理由があって子どもが必要である」ということをせめて自覚していることが大事だと思っています。

 私は時々言うのです。「あなたの生きがいにされている子どもの立場になってみてちょうだい。あなたがそうだったら、どんな気がする?」と聞きます。もらいたいほうは、「もらいたい」という欲求はとても強いのですが、やはり子どもを「選びたい」わけです。自分たちの生きがいになり自分たちの思っている子どもに育つ可能性を、0歳や1歳や2歳でどう判断するというのかとこちらが思いますが、そういう「お墨つき」が欲しいのです。

 誰も「石川遼になってほしい」とは言いません。しかし、平均的な子どもには育ってほしいと思っているし、子どもが持っている能力に対する期待が非常に高くあります。障害児がどうのという話が出ましたが、現実にADHDやアスペルガーや高機能自閉症と診断された子どもを養育することに喜びを感じることができる養親は決して多いとはいえません。ないとは言いませんが、そういうとても素晴らしい方もいてくださいますが、たくさんいるということでは決してありません。

 そうなると、私たちのところで問題になるのは、非血縁の親子関係を構築するということは一体どういうことかということについての研修をしっかり行うことです。

 「子どもの親になるということ」という資料を出しています。「子どもが欲しい」と言う夫婦にも温度差はあります。片方が死んでもちゃんと育てられるか。離婚の可能性はないのか。離婚するのはいいとしても親としての責任は取り続けられるのか。子どもがどのように育っても、例えば刑務所に入っても、場合によっては人を殺してしまっても、親として責任を持ち続けられるのか。そういうことを最初にしっかりと考えてもらわないといけません。「そうあるだろう」と言っているわけではありません。「そうあったとしても」子どもを育てたいという決心を継続することができるだろうかということを想像してもらいたいと思っています。

 われわれは、そういうことを確かめるために養親希望者との面接・家庭訪問調査をし、その調査をすることによって信頼関係を形成します。申し込んでいる子どもとその夫婦のマッチングが、この子どもにとって、その夫婦にとって本当に幸せなものになる可能性がどれだけあるのかをアセスメントしながら、その夫婦関係を見極めます。問題のある夫婦には、そこを調整しつつ、ちゃんとした親子をつくっていけるかどうかを考えます。そういうことをすることが私たちソーシャルワーカーの役割になってきました。

 子どもたちを引き取り、安定した親子関係を構築するためには、養親となる夫婦は相当な試練を乗り越えなければなりません。それが「試しの行動」です。それにどの程度耐え得る夫婦であるかを私たちが見極めないといけません。そして、それだけではなく、そこを支援することがとても必要になってきます。

 

3.あっせん機関の役割

 

 そういう経験から、「あっせん機関の役割とは何か」を箇条書きにしています。

 ・子どもを手放す実親へのソーシャルワーク。これはとても大事です。1人の母親が子どもを産み、その子どもを養子に出すことがその母親の人生にどういう影響を及ぼすかについて、最初に実親ともしっかり話し合っておかないといけません。そのことに対する支援がちゃんとできなければ駄目だと思っています。

 ・養親希望者への研修。

 ・養親希望者への面接・家庭訪問調査によるアセスメント。

 ・縁組後のアフターケア。私は、毎年10件くらい、思春期の問題の相談を継続して受けています。

 ・縁組後の研修。

 ・養親家庭の自助グループへの支援と指導。

 ・あっせん機関の職員の研修と技術の向上。

 ・子どもにとって有効な制度や法律であるためのソーシャルアクション。特別養子法もいろいろ問題のある法律なのですが、その法律であるためのソーシャルアクションがわれわれには問われるのではないかと思っています。

 以上です。少し延びて、すみません。

 

関連質疑2

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司会 続きまして、国会で何回かにわたって養子縁組問題について質問をしている衆議院議員の遠山清彦さんにコメントをいただきます。

 

コメント

衆議院議員 遠山 清彦

 

 皆さま、こんにちは。ただ今ご紹介いただきました、公明党の衆議院議員、遠山清彦でございます。

 自民党の野田聖子さん、また奥田さん、鈴木さん、そして読売新聞の高倉さん、これらの方々がおられたから、この議員立法の作業がここまで進んだのだと思っています。この場をお借りして心から感謝を申し上げたいと思います。

 私はこの問題について国会で2回、詳細に質問をして議論した経緯があります。

 私が初めて養子縁組の問題を取り上げたのは、5年前の2005年3月15日で、当時は参議院議員だったので参議院厚生労働委員会でした。尾辻秀久厚生労働大臣を相手に何十分間か、この問題について取り上げました。そのころから読売新聞の高倉さんと交流があって、高倉さんから教えられていろいろな勉強をした上でこの質問に臨んだのです。

 その時は政府当局に、1年間で全国から海外すべての国々に出ている日本人の赤ちゃんを何人であると把握しているかと訊いています。厚生労働省の局長は、「平成13年度が24件、平成14年度が23件、平成15年度が29件というふうになっております」と堂々と国会で答えています。ところが、皆さま、アメリカ国務省は、2001年(平成13年)に日本からの養子入国者が38人いると発表しているのです。しかし、厚生労働省は24人しかいないと言っています。アメリカ以外の国へも含めて、です。

 これは何を意味しているのかというと、かなりの数の子どもが厚生労働省・法務省入国管理局・外務省も全く知らない間に海外に行ってしまっているということです。しかも、高倉さんの『赤ちゃんの値段』という素晴らしい本の中に書かれているように、中には、子ども1人当たり550万円で、「買わないか」とは言っていないと思いますが、「もらわないか」と誘われた夫婦が、オランダやアメリカにいるという事実があります。

 ハイチの話は最近の話ですが、もしかすると、考えたくはありませんが、身寄りもなく安易に海外に養子に出された日本人の赤ちゃんの中で、人身売買、場合によっては臓器移植のためだけに取引された子が実はいるのではないか。それを否定できないほど、日本政府の養子縁組に対する姿勢がずさんであるということを、当時私は与党の一員ではありましたが、かなり野党的に大臣を責め立てた質問をやったのが5年前です。

 ちなみに、年間40人という数は少ないと言う方がいますが、少なくありません。アメリカに入っている養子の国別ランキングでいうと、1995年まで日本はずっと20位以内に入っていました。20位以内に入っている国の名前を見て、またさらにびっくりしました。メキシコ、グアテマラ、インド、パラグアイ、コロンビア、ベトナム、フィリピン、ルーマニア、ブラジル、ブルガリア、リトアニア、チリ、エクアドルと、先進国が1つも入っていません。日本だけです。日本は先進国の中では養子輸出大国と、アメリカ国務省のスタンダードでは見られている、という問題があるわけです。

 もう一度、国会で質問に立ったのは2年前です。平成20年4月28日、参議院決算委員会です。当時は舛添要一厚生労働大臣で、舛添さんと議論いたしました。

 国際養子縁組の対象になっている赤ちゃんの扱いがいまだにずさんである。例えば、アメリカ人の、白人でも黒人でも構わないのですが、夫婦が日本に入国し、1カ月後に急に日本人の赤ちゃんを連れて出ていくということがノーチェックでまかり通っているが、どういうことなのか。そういうことを追及いたしました。

 もう1つ、この決算委員会では違う視点で指摘いたしました。きょうは関係者の方が多いのでご存じのとおり、日本国内では要保護児童、つまりいろいろな事情から実親の手によって養育されていない子どもが、これは平成18年の数字ですが、全国で4万人いるわけです。そのうち、施設養護、つまり施設にいる子どもたちの数が3万6,874人、里親委託が3,424人です。実は、このデータは衝撃的なデータです。日本では要保護児童の91.5%が施設で暮らしているということです。家庭環境の下で暮らしている子どもの割合は8.4%にすぎません。養子縁組されて家庭に入っている子どもの数は、さらにその半分だから4%弱ということになっているわけです。

 これは海外と比べると驚異的です。イギリスでは常に要保護児童の8割が家庭環境におり、オーストラリアに至っては9割の要保護児童が家庭環境で育っています。恐らく、日本の状態は子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)の精神に極めて違反している状態です。私は、決して施設が悪いと言っているわけではありません。しかし、子どもは家庭環境で育てられるべきだということについて各国が賛同している今の国際社会の状況の中で、結果として施設に預けられている子が9割を超えているという状態です。

 この参議院決算委員会で私が最後に舛添大臣に申し上げた言葉で締めくくりたいと思います。戦前の日本の養子制度は、家のための養子制度でした。戦後の養子制度は、夫婦のため、親のための養子制度でした。私どもは、今回の「養子縁組のあっせんにおける児童の保護に関する法律案」を何とか国会で成立させることによって、初めて「子どものための養子制度」を日本でつくりたい、その第一歩に位置づけたいと思っています。

 ぜひお集まりの皆さまのご意見をいただき、この法案の成立のために協力していければと思っています。

 以上です。

 

関連質疑3

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●関連質疑1

質問者 私は〇〇と申します。埼玉県で里親であり、専門里親であり、なおかつ養子縁組をした親としてここに来ています。それと同時に、特別養子縁組について実質、仲介の事業もしています。

 その意味で奥田さんにお尋ねしたいと思います。また、岩ア美枝子さん、岩崎暁男さんとも長い間お付き合いいただいていますが、あえて言わなければなりません。

 私には子どもが5人います。そのうち、2人は特別養子縁組、1人は乳児院から里親委託でうちに来て特別養子縁組、それから、今から11年前だからまだ被虐待児を扱う専門里親のない時代にネグレクトを受けた異父きょうだい2人がいます。そういうことで私には5人の子どもがいます。皆さまから見れば、ある意味で「局面的な網羅」をしている側の人間として、お話しさせてください。

 奥田さんが「専門家」という表現をされました。まず、その辺が引っかかります。子育てに本当に専門家がいるのかと私は思います。確かにいろいろな資質の人間がたくさんいます。そこである一線を引かざるを得ないこともよくわかります。よくわかりますが、「専門家」というのは何なのでしょうか。児童福祉司のことですか、それとも社会福祉士ですか。大変申し訳ないのですが、本当の意味で親としての愛情をきちんと見られるのかと思わざるを得ない人に随分出会ってきました。

 もう1つ。はっきり言わせてもらうと、児童相談所(児相)というのはなぜこのあっせん機関に出てくるのでしょうか。逆に言うと、今の児相は、子どもの福祉に関しての救済としての養子縁組、家庭養護については、ある意味でいえばかなり微力です。弱体化していると、はっきりと言わざるを得ません。彼らは忙し過ぎます。虐待の対応に追われ、現実に1人1人の子どもに目をかけようとすれば、彼らは24時間フルに動かなければ無理です。それで「増員、増員」と言っています。本当に、実際にこういう家族関係、親子関係に、子どもだけではなくて親に対してもフォローアップしなければならない立場の人間たちが、児童相談所の職員にいますか。逆に聞きたくなってしまいます。そうだとしたら、「専門職」というのは何ですか。

 岩ア美枝子さんたちの長年のご苦労を私は端でずっと見ていますが、「児相の連中」と私もはっきり言葉として言ってしまうくらい、2〜3年で異動していくような連中に何ができますかと逆に思ってしまいます。

 私は、現実を見て言っているのであって建前上の話をしているのではありません。この辺の社会養護のシステムを既存の児相のシステムに置き換えるのではなくて、もっときちんとした対応をしていかないと、またどこかの落とし穴に潜り込んで、結局は「行政指導」という名の下にやっていくのが、こういう公的機関になりませんか。私は、児相と対等で私たちが語れるような場面が欲しい。彼らからは、行き詰まってくると必ず「行政指導」という言葉を出してきます。これはおかしい。対等ではない関係で親子の関係を論ずることはできない、と思っています。

 長い間、里親または専門里親として被虐待児に出会っている人間として言わなければいけません。彼らの努力は十分にわかりますが、それを生かすシステムが今、日本にはないのだと私は思っています。

 

遠山 奥田さん、先に一言よいですか。

 〇〇さん、大変貴重なご意見をありがとうございます。

 私はすごく共感するところがあります。この法案で期待している役割が本当に児相に果たせるのかというと、これは私の個人的な意見ですが、今のままの児相だとちょっと無理かなと思っています。実は、これはこの立法作業をしている間に議論しました。私の意見もそのように言いました。

 この法律を作ることによって、それをきっかけに、児相について、まさに〇○さんがおっしゃったようにスタッフの増員なども含めて、あるいは皆さま方から見て「こういうところが欠如している」というご批判を受けての改善もやらなければいけないのではないかと思っています。

 各都道府県を見渡した時に、○○さんのような方がいらっしゃる埼玉県もあれば、全くそういう方が民間にいらっしゃらない地域も現実にあります。児相は全国ネットで児童の問題を見る組織として実際にあるわけです。そうすると、憲法の下に、北海道で生まれようが沖縄県で生まれようが一律の行政サービスを提供することを前提に立法作業をするわれわれ国会議員としては、児相という枠組みを、今の児相が不十分であるということを知りながらも使わざるを得ないわけです。これは全国を見渡した上での立法作業だということでご理解いただきたいと思うのが、1点です。

 それから、○○さんが最初のほうでおっしゃった、児童福祉司などが「専門家」であるのかという問いかけについてです。

 本当に子どものため、子どものことをわかっている、親の愛情をわかっている人たちであるのかということになると、これも正直に言って、全国を見渡して資格は同じでもいろいろな資質の方がいることは否めません。同じ肩書の官僚が出てきても全然違うというのは、どの分野も行政機関は同じです。はっきり言うと、われわれ政治家でも同じ「衆議院議員」という肩書でも皆さま方から見たら評価はいろいろあるでしょう?

 しかし、国民が望んでいるスタンダードにそういう職責にある方がいかなければいけない。そのための教育訓練や研修はどうするのか。岩ア美枝子さんの資料の最後のほうに「こういうことをしなければいけない」という具体的なことがありましたが、そういうこともこの法律の運用の中にしっかり含めていかなければいけないでしょう。

 ○○さんのご意見は至極ごもっともな点ばかりです。それを現実に担保していくのは、法律というよりも、どういう研修や教育を行うか、どのように対等に話ができる関係をつくっていくかという、運用の部分にやや重きを置いた改善策が必要なのかと少し思いました。だから、少しコメントさせていただきました。

 

司会 それでは、奥田さん。

 

奥田 私に向けられているので、ご説明いたします。

 まず、児相について。

 まさにおっしゃるとおりだと思います。現在のシステムを前提にするとそうなのです。

 私たちが特に強調したいのは、児童相談所は都道府県の枠組みでやっているものをできれば都道府県の枠を越えて全国レベルで連携を図ってほしい、ということです。それから、何よりも大事なのが、家庭養護促進協会がやっていらっしゃるような児相と民間あっせん機関の連携です。そういうことをやっている民間あっせん機関は確かに少ないです。本当の意味でそういうことをやっているのは、今は家庭養護促進協会だけかもしれないですが、そういう連携が少しでも増えてほしいと思います。しかも、それを連携させる枠組みが必要でしょう。

 各都道府県に1つ、児童相談所に専門部局を置いてほしいと言っていますが、47都道府県全部の専門部局が本当のプロになるかというと、それは無理だろうと思います。それぞれのところの実情に応じてやっていただいて、連携していろいろな足りないところを補い合っていただきたいということです。

 次に、専門家ということに関して。

 例えば、養子縁組のあっせんについて専門書があるかというと、今のところ日本にはないようです。私もこういう法案を提案した以上は責任があると思って、専門外ですが取り組み始めています。アメリカにはそういう、専門書とまではいきませんが、いろいろと研究されたものがあります。手ごろなマニュアル的なものからかなり専門性の高いものまであります。その中から適当なものを翻訳するところからまず始める必要があるのではないかと思って、既に私と高倉さんとで翻訳作業を開始しています。できれば今年中には何とか本として出版したいとさえ思っています。これは大風呂敷を広げているようですが。

 私たちも責任を感じているので、ぜひこの現状を変えていきたいと思っています。

 よろしいでしょうか。

 

質問者 1点だけ、いいですか。

 児相の話に戻るのですが。今、奥田さんが言われた47都道府県に専門部署について。私は、皆さまもよくご存じのとおり、中身の伴わない法律をいっぱい見てきています。だから、より具体化していかないと戦略にならないのではないですか。能書きを並べても駄目なのです。そうだとしたら、思い切って組織改編を提案するような法律にしないと。都道府県のエリアでは子どもの福祉については狭過ぎます。そうだとすれば、地方ごとにある意味で集約的な、それこそ責任の取れる部署を考えたほうがいいと思います。それがないと、「またお飾りをつくってどうするんですか」と私は思うのです。

 それだけで止めておきます。

 

司会 遠山さんからコメントがあれば。

 

遠山 おっしゃる趣旨はよくわかります。ただ、今この分野には法律すらないのです。国は何もやろうとしませんから。そこを変えたいということです。

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関連質疑2

質問者 きょうはありがとうございました。○○大学の○○と申します。

 児相にいて、児童相談所についての○○さんの言葉を、ずんずんとこたえながら聞いていました。○○さんの体験したことに基づいてのことだろうと感じます。何としても、実質的な仕事が担えるように、児童相談所の質を高めるために応援していただきたいと思います。

 私は、子どもたちの社会的な養護を担う上でとても大事なことが幾つかあると思っています。1つは、チームワークが重要だと思っています。1つの場所だけで担えるものではない。両親がけんかをしていたら不幸になるのは子どもである。関係者が誹謗(ひぼう)中傷し合っていては何もならない。きつい言葉も必要だと思います。高めるためにそういうことが必要だと思います。しかし、目指すところは信頼関係と協働だと感じています。もう1つ重要なことは、人の命や人生を支える私たちは、「自分たちが失敗してしまう者である」、「間違いを起こしてしまう者である」、「動かない時がある者である」ということを自覚して取り組まなければならない、と感じています。

 この法案を見ると、児相や民間機関については「こうしなければならない」ということが具体的に書いてあるのですが、養親になろうとする方の責務、義務といったものはどのように担保することを想定されているのでしょうか。それが気になりました。

 里親の場合には今、児相の職員は苦情の受け付けもしなければいけない、自分たちが研修を受けなければいけない、という責務が具体的に規定されるようになりました。養親になろうとされる方の、子どもたちを本当に幸せにするというその方々の善意を前提にしなければいけないし、そういう方をマッチングやアセスメントをして確保していかなければいけないことは当然だと思います。それと同時に何らかの責務を養親になろうとする方に求める規定等は必要ないのかどうか。その辺の議論があったのかどうか。外国にそういった例があるのかどうか。そこをお聞きしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

司会 これは内容にかかわりますから、まず奥田さんからコメントをいただきたいと思います。

 

奥田 里親になる人について行っている教育を養親になる人にもする必要があるのではないか、というのはおっしゃるとおりだと思います。そのプロセスは全く同じかというと違う可能性もあると思うので、これから深めていかなければいけません。

 「あっせん機関のカウンセリング」というと、一方的に養親になる人が相談に行って話を聞くというように思われるかもしれません。カウンセリングを通じて養親としての自覚を持っていただくという、まさに岩ア美枝子さんがやっていらっしゃるようなことを、民間あっせん機関・児童相談所が実際にあっせん業務をやる時にはぜひ実行していただきたい、と思っています。あっせん機関のほうも、カウンセリングを通じて「この方は養親としてふさわしい人になってきたかどうか」を判断しなければいけないでしょう。それは「あっせん機関の重要事項の確認」の中に含まれると思っています。

 

司会 岩ア美枝子さん。例えば責務というかそれを法文化することについては、何かご意見がありますか。

 

岩ア美 法文化そのものの可能性が問題です。

 例えば、里親の場合も最低基準を法律とは別に厚生労働省令で定めています。里親制度の中でやる場合には、あの最低基準が養子縁組前提里親にも適用されればいいわけです。それはある程度担保できることかもしれません。ただ、一番難しいのは、文字化してしまったがために、それをどう判断するかということです。やはり運用の問題だろうと思います。

 実は、きのう大阪市の児童相談所とカンファレンスをやっていました。例えば、言葉のやりとりの上では「社会性がある」と私たちが見る人が親としていいかどうか、という難しい部分はあるのです。私たちも調査をしますが、それはほとんどがバーバルなものを中心にして聞き取ります。その言葉、話されることの裏にあるものをどれだけ想像し、感知し、またそのことを問いかけて確認していく技術がソーシャルワーカーにあるかどうかによって、明らかにされます。

 何もかも開けっ広げという方がいらっしゃいますが、それは「社会性がない」と見られるし、「夫婦げんかで激しくやり合って交番の警察官を呼んできて仲介してもらうという夫婦が養親になるのはどうなんだ」ということになります。確かにそうはいえます。しかし、私は、その夫婦が持っている子に対する情感などがしっかりしていれば、「わかりやすくていいよ、そういう夫婦。なぜなら、どこを支援したらいいかというのが丸見えだから、逆に言えば上手に飾られる夫婦よりいいよ」という意見を、きのうも言ったばかりなのです。

 その辺のことを言葉を連ねて規定をしてしまったために運用に差し障ることになるのだったら、そういうことを書くことはどうなのでしょうか。それよりもマニュアルがいいのかどうか。奥田さんがアメリカのマニュアルを訳して、それが日本で役に立つのかといえばまたいろいろあるのですが。

 私もマニュアルは作りました。このことについては奥田さんも「出版しないか」という話を以前になさったのですが。マニュアルを作った私が言うのもおかしいのですが、マニュアルに文字化できることは、私たちのやっている業務の本当に薄っぺらなところだけです。ワーカーとして1人の養親希望者とある種戦うというような、何を武器にして戦いながらお互いがわかり合えるかというような、その1つ1つの事象はマニュアル化できないのです。「しっかり話し合え」とか「ちゃんとアセスメントしろ」とかという言葉にはなります。そのアセスメントの内容は何なのか、どういう調査をしてこられたのか、どこまで聞き取れてきたのか、聞き取れたことが本人の主観ではなく相手にちゃんと返して相手と共感できるところまで掘り下げてきたのかというのは、マニュアルにしたからといってなかなかできることではないのです。

 ○○さんのおっしゃることもよくわかりますが、養親としての責務の担保は、今回、厚生労働省が養子縁組里親として里親制度に乗せるのならば、里親の最低基準にしてもどうなのだとは思いますが、最低基準の中で収めるということでいいのではないでしょうか。あえて養子縁組あっせん法の中に書くよりは、やはり、○○さんの経験や私の経験を若い人たちに伝えていくことがこれからどれだけできるかということのほうが大事なのではないか、と思いますが。

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●関連質疑3

質問者 ○○会で理事をしています○○と申します。

 私が言いたいのは、どちらかというと里親制度と地続きにしてもらえるような制度にならないのかということです。これは海外への養子縁組に非常に力点が置かれている法案だろうと思うのです。片方に4万人の要保護児童がいる。この辺を里親制度を拡大しながら……。子どもの視点で考えると、社会的養護であることは間違いのないことだろうと思うのです。養子縁組として確立するのもよいかもしれませんが、できることであれば切り分けないか、あるいは上手な連携を取るような仕組みを担保しておいていただければいいかと思うのです。

 私の個人的な体験というか、里親をやっているわけですが。最初に来た子どもは、無国籍で1歳前に来ました。無国籍だから国籍を取ろうという活動をしたら、日本以外の国籍が取れてしまいました。そうしたら、不法滞在だから即、強制退去ということで、子どもは母親の国に行く、と。行くといっても日本で生まれて、そのころはもう7歳くらいになっていたので、何とかならないかと、法務大臣の裁決で在留特別許可まで持っていこうとして、最終的には養子縁組をしたのです。里親をやりながら最終的な決断として養子縁組も担保するというかそれが方向としてあるのだということがあって、活動ができたわけです。

 行ったり来たりと言うとおかしいですが、社会的養護の広い意味での土台の上に構築していただきたい、というのがお願いです。

 それと、言ってもしようがないことですが、外国人に冷たいとか無国籍の子どもに冷たいとかという日本の状況があります。子どもの人権の問題からいえば、無国籍であろうとなかろうと日本の中でしっかり世話すべきだろうと思います。

 以上です。

 

司会 ありがとうございます。

 遠山さんから一言コメントを。

 

遠山 ○○さん、ありがとうございます。

 私は、平成20年4月28日の参議院決算委員会でのやりとりの中で、今の最初のポイントを言っています。政権交代してまだ期間が短いので、新政権の下で今どういう議論がされているのか私は知りませんが、恐らく、あまり議論されていないのではないかと思います。

 自公政権の末期に厚生労働省が打ち出したのは、要保護児童の社会養護政策として、養子縁組をちょっと横に置いて、短期間だけ預かる里親に手厚く手当をしようと。ところが現実は、里親として子どもを預かっている間に途中で「この子と養子縁組をしたい」と思われる方もいらっしゃるし、逆に、養子縁組を前提で預かったけれども途中で無理だと思われるケースもあります。当時、私は与党にいたのですが、ここはかなり噛みついたところです。最初におっしゃった「里親制度と地続きにして」いただきたいというのはよくわかります。

 この法律案では、対象がやや限定されたところで規定しているので、既存の関連法も含めて議論していかなければいけないところですが、社会的養護政策としての養子縁組をどう位置づけるか、里親をどう位置づけるか、またその連関をどう位置づけるかという議論は、どこの政党が政権をとっていようが、より大きな立場でしていかなければいけないと思っています。

 私は平成20年4月の議論で舛添さんとやっているので、ぜひ見ていただいて参考にしていただければと思います。

 

司会 ちなみに、私たちの法案は国内養子あっせんの促進を目的としていますので、誤解のないようお願いします。


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