戸籍法及び戸籍法施行規則の一部改正に伴う戸籍事務の取扱いについて(抄)

昭和59年11月1日民二第5500号民事局長通達


 このたび国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律(昭和59年法律第45号)(以下「改正法」という。)が公布され、また、戸籍法施行規則の一部を改正する省令が本日公布された。
 改正後の戸籍法(以下「法」という。)及び戸籍法施行規則(以下「規則」という。)は、昭和60年1月1日から施行されるが、この改正に伴う戸籍事務については、次のとおり取り扱うこととするから、これを了知の上、貴管下支局長及び管内市区町村長に周知方取り計らわれたい。
 なお、これに反する当職通達又は回答は、本通達によつて変更又は廃止するので、念のため申し添える。

第2 渉外婚姻に関する取扱い

4 氏の変更

(1) 外国人と婚姻した者の氏の変更
ア 日本人配偶者は、婚姻成立後六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その氏を外国人配偶者の称している氏に変更する旨の届出をすることができることとされたが(法第107条第2項)、この場合の戸籍の記載は、戸籍事項欄及び身分事項欄に記載例176から180までの例により、これをする(規則第34条第2号、第35条第13号)。
  なお、戸籍事項欄の記載は、管外転籍の場合に移記を要するが、身分事項欄の記載は、新戸籍を編製され、又は他の戸籍に入る場合に移記を要しない(規則第37条、第39条)。
イ アの届出は、届出人の身分事項欄に記載された外国人配偶者の氏と異なる氏を変更後の氏とする場合には、受理することができない。ただし、外国人配偶者の氏のうち、その本国法によつて子に承継される可能性のない部分は、法第107条第2項に規定する外国人配偶者の称している氏には含まれないので、その部分を除いたものを変更後の氏とする届出は受理することができる。
  届出人の身分事項欄に記載された外国人配偶者の氏と同一のものを変更後の氏とする場合は、その氏に明らかに上記部分を含むものと認められる場合を除き、届出を受理して差し支えない。
ウ 変更後の日本人配偶者の氏は、片仮名によつて記載するが、配偶者が本国において氏を漢字で表記する外国人である場合において、正しい日本文字としての漢字により日本人配偶者の身分事項欄にその氏が記載されているときは、その漢字で記載して差し支えない。
エ 外国人配偶者が死亡した後は、アの届出をすることができない。
オ 戸籍の筆頭者でない者から外国人との婚姻の届出及びアの届出が同時にあつたときは、婚姻の届出による新戸籍を編製した後に、アの届出による戸籍の記載をする。
カ アの届出があつた場合において、その届出人の戸籍に同籍者があるときは、届出人につき新戸籍を編製し、氏変更の効果は同籍者には及ばない(法第20条の2第1項)。
  この場合において、氏変更前の戸籍に在籍している子は、同籍する旨の入籍届により、氏を変更した父又は母の新戸籍に入籍することができる。
  アの変更届と同時に同籍する子全員から入籍届があつた場合においても、氏を変更した者につき新戸籍を編製する。
キ アにより氏を変更した者と外国人配偶者を父母とする嫡出子を戸籍に記載する場合には、その父母が離婚し、又はその婚姻が取り消されているときを除き、母欄の氏の記載を省略して差し支えない。
ク 改正法施行前に外国人と婚施した者であつても、昭和59年7月2日以降に婚姻をした者は、改正法施行の日から昭和60年6月末日までその氏を外国人配偶者の称している氏に変更する旨の届出をすることができる(改正法附則第11条)。
  この場合において、届出人が戸籍の筆頭者でないときは、届出人につき新戸籍を編製し(法第20条の2参照)、戸籍の記載は、記載例178から180までの例に準じて行う。

(2) 離婚による氏の変更
ア 法第107条第2項により外国人配偶者の称している氏に変更した者は、離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日から三箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その氏を変更の際に称していた氏に変更する旨の届出をすることができることとされたが(法第107条第3項)、この場合の戸籍の記載は、記載例181から183までの例による。記載すべき欄及び移記については、(1)アと同様である。
イ アの届出があつた場合の戸籍の処理及び届出人の戸籍に在籍する子の入籍については、(1)カに準じて行う。

(3) 父又は母が外国人である者の氏の変更
ア 戸籍の筆頭者及びその配偶者でない者は、従来氏の変更の届出をすることはできなかつたが、改正法施行の後は、氏を変更しようとする者の父又は母が外国人であるときは、家庭裁判所の許可を得て、その氏を外国人である父又は母の称している氏に変更する旨の届出をすることができることとされた(法第107条第4項)。この場合の戸籍の記載は、記載例184から186までの例による。
  記載すべき欄及び移記については、(1)アと同様である。
イ 養子は、その氏を養父母の称している氏に変更することができるが、実父母の称している氏に変更することはできない。養子が転縁組しているときは、直近の縁組による養父母の称している氏のみに変更することができる。
ウ 氏を変更しようとする者が十五歳未満であるときは、アの届出は、法定代理人がしなければならない。
エ アの届出があつた場合の届出の受理及び氏の記載については、(1)イ及びウに準じて行う。
オ アの届出を受理したときは、氏を変更した者につき新戸籍を編製する(法第20条の2第2項)。


第3 国籍の得喪に関する取扱い

1 国籍取得の届出

(1)新国籍法により、法務大臣に対する届出による国籍取得の制度が設けられたが(新国籍法第3条、第17条第1項、第2項、改正法附則第4条、第5条、第6条)、これにより国籍を取得した者は、一定期間内に市区町村長に届け出なければならないこととされた(法第102条、改正法附則第13条)。この場合の戸籍の記載は、記載例165及び参考記載例172から178まで及び181から186までの例による。

(2)法務大臣に対する届出により国籍を取得した者の称すべき氏及び入籍する戸籍は、次の原則によるものとする。
ア 国籍取得者の氏は、新国籍法第3条による国籍の取得にあつては準正時(準正前に父母が離婚しているときは離婚時)の父の氏、新国籍法第17条第1項による国籍の取得にあつては出生時の日本人たる父又は母の氏、同条第2項による国籍の取得にあつては国籍喪失時の氏、改正法附則第5条による国籍の取得にあつては出生時の母の氏、改正法附則第6条による国籍の取得にあつては父又は母の改正法附則第5条による国籍取得時の氏である。
イ 国籍取得者(新国籍法第17条第2項により国籍を取得した者を除く。)は、国籍取得時において氏を同じくする父又は母の戸籍があるときは、その戸籍に入る(法第18条。なお法第17条参照)。
 上記により入るべき戸籍がないときは、国籍取得者につき新戸籍を編製する。この場合においては、親子関係を戸籍上明らかにするため、いつたん、父母が国籍取得者と同一の氏を称して最後に在籍していた戸(除)籍に入籍させた上、直ちに除籍して新戸籍を編製する。
ウ 新国籍法第17条第2項により国籍を取得した者は、国籍喪失時に在籍していた戸籍に入る。ただし、その戸籍が除かれているとき又はその者が日本国籍を引き続き保持していたとすればその戸籍から除籍する理由があるときは、新戸籍を編製する。
エ 国籍取得者が国籍取得時に日本人の養子であるときは、アによる氏から直ちに養子縁組当時の養親の氏に変更したものとして取り扱う。
 また、国籍取得者が国籍取得時に日本人の配偶者であるときは、アによる氏を称した上、国籍取得届において日本人配偶者とともに届け出る氏を称するものとして取り扱う。

(3)国籍取得者の名については、次の原則による。
ア 国籍取得者の名に使用する文字は、次のイの場合を除き、常用平易な文字でなければならない(法第50条、規則第60条)。
イ 国籍取得者が国籍取得前に本国においてその氏名を漢字で表記する者であった場合において、相当の年齢に達しており、卒業証書、免許証、保険証書等により日本の社会に広く通用していることを証明することができる名を用いるときは、正しい日本文字としての漢字を用いるときに限り、制限外の文字を用いて差し支えない。

(4)国籍取得者は、国籍取得の届書に国籍取得前の身分事項を記載し、その身分事項を証すべき書面を添付しなければならないものとされたが(規則第58条の2、改正省令附則第2項)、当職又は法務局若しくは地方法務局の長が発行する国籍取得証明書(法第102条第2項参照)に身分事項に関する記載があるときは、その事項については更に資料を添付することを要しない。

2 帰化の届出

(1)帰化者は、帰化の届書に帰化前の身分事項を記載し、その身分事項を証すべき書面を添付しなければならないこととされたが(法第102条の2、規則第58条の2)、従来どおり、その身分事項は、法務局又は地方法務局の長が発行する帰化者の身分証明書に基づき記載する。

(2)帰化の届出の期間は、1箇月に伸長された(法第102条の2)。
 改正法施行前に帰化した場合であつても、その告示の日が昭和59年12月23日以降であるときは、改正法施行の後に届出をする場合の届出の期間は、1箇月である(改正法附則第8条)。

3 国籍喪失の届出

(1)国籍法の改正により新たな国籍喪失事由が設けられるとともに(新国籍法第11条第2項、第15条第3項、第16条第2項、第5項)、国籍喪失の届出義務者に国籍喪失者本人も加えられ、届出義務者が国外に在る場合の届出の期間は、3箇月に伸長された(法第103条)。

(2)新国籍法第13条、第15条第3項又は第16条第2項及び第5項による国籍の喪失についての法第105条の報告は、当職又は法務局若しくは地方法務局の長がする。

(3)改正法施行前に国籍を喪失した者は、届出の義務を負わないが、改正法施行の後にその者から届出があつたときは、これを受理する(改正法附則第9条)。

4 国籍留保の届出

(1)新国籍法第12条により、生地主義国で出生した子に限らず、事由のいかんを問わず、出生により外国の国籍をも取得した子で国外で生まれたものは、出生の届出とともに日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失うこととされた(法第104条第2項)。

(2)国籍留保の届出は、届出をすることができる者が外国に在る外国人であつても、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事に、出生の届出とともにこれをすることができる。

(3)国籍留保の届出人及び届出の期間は、第一の2、3及び4と同様である(法第104条第1項、改正附則第8条)。

5 国籍選択の届出

(1)新国籍法第14条により、外国の国籍を有する日本人(以下「重国籍者」という。)は、一定期間内に国籍の選択をすべきこととされた。日本の国籍の選択の宣言をしようとする者は、市区町村長に対してその旨を届け出なければならないが(法第104条の2)、その届出があつた場合には、明らかに外国の国籍を有しないものと認められるときを除き、届出を受理して差し支えない。この場合の戸籍の記載は、身分事項欄に記載例169の例により、これをする(規則第35条第12号)。
 なお、その記載は、管外転籍の場合又は新戸籍を編製され、若しくは他の戸籍に入る場合に移記を要する(規則第37条、第39条第1項第7号)。

(2)日本の国籍の選択の宣言をしようとする者が15歳未満であるときは、法定代理人に代わつて届出をしなければならない(新国籍法第18条)。この場合において、法定代理人が外国に在る外国人であつても、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事に届出をすることができる。

(3)国籍選択の届出は、新国籍法第14条第1項に規定する期限を経過した後であつても、国籍の選択をすべき者が日本又は外国の国籍を喪失するまでは、これを受理することができる。

(4)改正法附則第3条の適用により日本の国籍の選択の宣言をしたものとみなされた場合には、その者の戸籍にその旨を記載をすることを要しない。

6 外国の国籍の喪失の届出

(1)重国籍者は、外国の国籍を喪失した場合には、一定期間内に外国官公署の発行する国籍離脱証明書、国籍を喪失した旨の記載のある外国の戸籍謄本その他の外国の国籍を喪失したことを証すべき書面を添付して、その旨の届出をしなければならないこととされたが(法第106条)、この場合の戸籍の記載は、記載例168の例による。記載すべき欄及び移記については、5(1)と同様である。

(2)改正法施行前に外国の国籍を喪失した者は届出の義務を負わないが、その者から届出があつたときは、これを受理する(改正法附則第10条)。

7 重国籍者についての市区町村長の通知

(1)法務大臣は、新国籍法第15条により、重国籍者で所定の期限内に国籍の選択をしないものに対し、国籍の選択をすべきことを催告するものとされ、市区町村長は、戸籍事務の処理に際し、所定の期限内に国籍の選択をしていない重国籍者があると思料するときは、所要の事項を管轄法務局又は地方法務局の長に通知しなければならないこととされた(法第104条の3、規則第65条の2)。この場合において、法務局又は地方法務局の支局の管轄内にある市区町村の長は、当該支局の長あてに通知するものとする。

(2)(1)の通知は、昭和59年12月31日以前に出生した者については、改正法施行の後に外国人との婚姻若しくは養子縁組又は外国人からの認知により重国籍者となつたと思料されるものに限り、行うものとする(改正法附則第3条参照)。

(3)法務局若しくは地方法務局又はその支局の長は、(1)の通知に係る者が国籍の選択をすべき者に該当しないときは、(1)の通知をした市区町村長にその旨を通知する。

8 国籍の選択の催告に伴う戸籍の処理

(1)法務大臣が国籍の選択をすべきことを催告したときは、法務局又は地方法務局の長はその催告を受けた者の氏名及び戸籍の表示並びに催告が到達した日を、その者の本籍地市区町村長に通知するので(国籍法施行規則(昭和59年法務省令第39号)第6条)、この通知を受けた本籍地市区町村長は、催告を受けた者の戸籍の直前に着色用紙をとじ込む等の方法により、催告があつた旨を明らかにするものとする。

(2)新国籍法第15条第1項及び同条第2項に規定する催告を受けた者は、催告の書面が到達した日(官報に掲載してする催告にあつては到達したものとみなされた日)から1月を経過した時に同条第3項により日本の国籍を喪失するので、その時の後はその者について国籍の選択の届出を受理することができない。ただし、新国籍法第15条第3項ただし書に規定する事由があるものとして届出があつたときは、その処理につき管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局の長の指示を求めるものとする。


第4 その他

3 外国人の氏名の表記方法

(1) 戸籍の身分事項欄及び父母欄に外国人の氏名を記載するには、氏、名の順序により片仮名で記載するものとするが、その外国人が本国において氏名を漢字で表記するものである場合には、正しい日本文字としての漢字を用いるときに限り、氏、名の順序により漢字で記載して差し支えない。片仮名で記載する場合には、氏と名とはその間に読点を付して区別するものとする。

(2) 従前の例により記載されている外国人の氏名の更正は、次の取扱いによる。
ア 身分事項欄又は父母欄に従前の例により名、氏の順序で外国人の氏名が記載されている者で、同一の戸籍に記載されているもの全員から、本籍地の市区町村長に対し、その記載を氏、名の順序に更正する申出があつたときは、市区町村長限りでその記載を更正して差し支えない。この場合において、更正は申出があつた戸籍についてのみ行うものとする。
イ 父又は母から更正の申出があつた場合には、同籍する子から申出がないときでも、その子の身分事項欄又は父母欄に記載された当該外国人の氏名の記載を更正するものとする。
  申出をすべき者のうち一部の者が、所在不明その他の事由により申出をすることができない場合においては、その他の者全員から申出があるときは、申出がない者の身分事項欄又は父母欄に記載された当該外国人の氏名を更正するものとする。
ウ 更正の申出をしようとする者が十五歳未満であるときは、申出は法定代理人がしなければならない。
エ 身分事項欄又は父母欄を更正したときは、その者の身分事項欄に次の振合いによる更正事由を記載する。ただし、父又は母の身分事項欄を更正する場合において、同籍する子の父母欄のみを更正するときは、その子の身分事項欄には更正事由の記載を要しない。
  身分事項欄を更正する場合
  「申出により平成六拾年参月五日夫(妻)の氏名の記載更正(印)」
  父母欄のみを更正する場合
  「申出により平成六拾年参月五日父(母)欄の記載更正(印)」