間違いだらけの勉強法


                                     中央大学法科大学院
                                         教授 奥田安弘

〔サイトの趣旨〕

 以下では、私が本学の授業を通じて、何か勘違いがあるのではないかと思ったことをまとめてみました。

 法科大学院に入学する前は、教科書の丸暗記(コピペ)だけでも良い成績がとれたのでしょうが、司法試験は、そういうわけにいきません。入学前と同じ勉強法で司法試験に合格できるのであれば、法科大学院は不要です。

 また、国際関係法(私法系)をみる限り、100点満点で60点をとれば、トップクラスです。そんな答案を模範解答(モカイ)と崇めて、60点を目指したら、せいぜい30点しかとれません。しかも、一般にモカイとして公表されているものは、せいぜい40点クラスです。したがって、それを見本にしたら、25点の足切点にすら届かないおそれがあります。

 次の各項目をクリックすれば、該当箇所にジャンプします。
選択の理由〕〔授業を受けない理由〕〔受講方法〕〔自習方法〕〔答案作成方法
不良答案の例

 これらを読んで、まだ納得できない人は、さらに「間違いだらけの勉強法」付録を参照してください。また、修了生の生の声を聞きたい人は、ビデオメッセージをクリックすれば、ジャンプします。


選択の理由

 国際私法は、「これからの学問」であり、恰好よいと思った。国際的に活躍する大規模事務所(渉外事務所)への就職も有利に思える。

 他の分野と比べて、主要な法源(法の適用に関する通則法)は、条文数が少ないので、覚える範囲が狭い。関連法令も少なそうである。

 教科書は手頃なサイズのものしかなく、他の分野のように厚い本を読まなくて済む。入門書程度の本を読んだら足りるようである。

■ 合格者の体験記を読んでも、国際私法は、機械的に条文を当てはめるだけで、自動的に答えが出てくるので、楽そうである。


授業を受けない理由

■ 中央大学のカリキュラムでは、展開・先端科目群にたくさんの授業があり、司法試験の選択科目を履修しなくても、修了要件を満たすことができる。

■ 司法試験の選択科目は、教員が厳しい授業をするので、司法試験に直接関係しなくても、基本科目の教員が担当していたり、もっと楽な授業や楽しそうな授業を履修したほうが得である。

■ 司法試験の選択科目は、予備校のアンチョコで十分である。配点が少ないので、むしろ基本科目の勉強に集中したほうが合格につながる。あるいは、展開・選択科目群には、「隠れ基本科目」もあるから、そちらを受講したほうがよい。

■ 司法試験の選択科目は、受講者が少ないので、教員がいろんなことを質問するので、煩わしい。むしろ他の学生がたくさん受講している授業に出たほうが楽である。


受講方法

 教員は、難しそうな教材を指定したり、プリントを配布したりするが、自分たちは、もっと手軽な本で勉強したいので、迷惑である。授業には、自分が普段使っている手軽な本を持ち込んで、それを眺めながら、話を聞くだけであり、ノートなどとる必要はない。

 法律の条文よりも一般的な説明のほうが試験にそのまま使えるので、六法は見ない。六法をあちこち開くのは面倒だ。

■ 本やプリントには、なるべく書き込まないで、マーカーだけを使う。学部時代から、ずっとそうしてきた。そもそも書き込むことなど何もない。

■ 教員は、たくさんの参考文献を挙げるが、自分たちは、答えを暗記するのに忙しいから、参考文献を読んでいる暇はない。また判例は、本に引用された結論を覚えるだけで十分であり、元の判例集をみる必要はない。


自習方法

■ 教員の話は分かりにくいので、手頃な本を1冊だけ買って、何度も読み返し、そのまま暗記する。最高裁判決などの重要判例も、判旨の一般論を暗記する。

■ 暗記は疲れるので、1時間程度やったら休憩する。自習室は狭いので、図書館の閲覧室を使う。どうせ図書館の本をいろいろ探して、詳しく調べている者などいない。

■ いろいろな本を読んだら、混乱するので、本は、各科目1冊か、せいぜい2冊くらいしか読まない。書いてある内容に疑問を挟むなど、学生には無理である。

■ 司法試験の過去問、出題趣旨、採点実感等を読んで、試験対策にする。設問は、大体パターンが決まっているから、同じように解答すればよい。


答案作成方法

■ ナンバリングや改行は、多いほうが読みやすい。詰めて書くよりも、行数を増やすことに専念すべきである。先輩たちが勧めるし、本も同じような書き方をしている。

■ 問題文を写して、条文を写したら、当てはめをしたことになる。正確に写したことを示すために、鍵括弧を付ける。写した場所さえ合っていれば、評価される。

■ 理由づけは、本に書いてあることをそのまま写す。あるいは、知っていることを何でも書く。よく勉強していると褒めてもらえるかもしれない。

■ 論点になりそうなことは、なるべく多く取り上げて、いろいろ書いたほうが高い評価を受ける。一つひとつの論点は、短く触れるだけでよい。

■ 時間がもったいないから、答案構成用紙は、なるべく使わない。問題文をざっと眺めたら、すぐに答案を書き始める。予備校も、答案構成用紙を使わないことを勧めている。


不良答案の例

 以下の例は、上記の間違いが複数重なっているので、いずれか一つを直せば済むというものではありません。こんな丸写しで済むのなら、司法試験は要らないし、そもそも裁判官や弁護士も要りません。

【財産法】
問:XとYが締結した契約の条項中には、準拠法を日本法とする旨の条項があった。この契約の準拠法は、いずれの国の法であるか。
答:
1.法の適用に関する通則法7条によれば、契約の成立および効力は、「当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法」による。
2.XとYが締結した契約の条項中には、「準拠法を日本法とする旨の条項」がある。
3.よって、この契約の準拠法は日本法である。

【家族法】
問:甲国人男Aは、事理を弁識する能力を欠く常況にあったため、日本の裁判所により後見開始の審判を受けた。一時的に事理を弁識する能力を回復したAが遺言能力を有するか否かは、いずれの国の法により判断すべきであるか。
答:
1.法の適用に関する通則法37条1項によれば、遺言の成立および効力は、「その成立の当時における遺言者の本国法」による。
2.遺言能力は、遺言の実質的成立要件である。
3.よって、「Aが遺言能力を有するか否か」は、甲国法により判断すべきである。


ビデオメッセージ

国際私法の講義だけでなくゼミをきちんと受けた修了生から、後輩の皆さんに「勉強法」に関するメッセージを送ってもらいました。
以下のLinkをクリックすれば、MP4ファイルが再生されます。

 大野弁護士(2005年受講、2017年9月撮影) Link
 姜 弁護士(2012年受講、2017年9月撮影) Link
 里和くん(2016年受講、2017年合格、2017年9月撮影) Link

 音量が低い場合の対処法
 http://asitanoyamasita.hateblo.jp/entry/2016/07/27/121900
 http://excelshogikan.com/tips/tips145.html
 音が出ない場合の対処法
 http://121ware.com/qasearch/1007/app/servlet/relatedqa?QID=018149
 スピーカーとヘッドホンの切り替えができないというトラブルも発生しているようです。


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