私にもできること

 

 
 

私にもできること

 

 

消費に関しては、科学的知見に基づいた消費の上限を設定することが重要です。また、問題の解決のためには、ウナギのニュースを知り、伝えることにより、ニホンウナギ減少の問題の優先順位を上げる必要があります。現状を把握し、対策の有効性を確認するためには、適切なモニタリング調査が欠かせません。市民参加型のウナギモニタリング・プログラムを準備していますので、興味のある方はご連絡を。

 

消費に関しては、科学的知見に基づいた消費の上限を設定することが重要です。また、問題の解決のためには、ウナギのニュースを知り、伝えることにより、ニホンウナギ減少の問題の優先順位を上げる必要があります。現状を把握し、対策の有効性を確認するためには、適切なモニタリング調査が欠かせません。市民参加型のウナギモニタリング・プログラムを準備していますので、興味のある方はご連絡を。

安いウナギを食べてはいけない?

 
 
ファストフードチェーンで提供されているうな丼と、 専門店のうな重

 近年のニホンウナギ減少に関する報道とともに、「ウナギはもともと高価な食物であり、スーパーやコンビニ、ファストフードで安いウナギを提供すべきではない」、「ウナギの大量消費によってウナギ資源が減少したのだから、食べる回数を減らし、食べる時には専門店で手間をかけて調理したウナギを選択するべきだ」といった意見を目にすることが多くなりました。これらの意見に至った気持ちは、当然のことと思います。しかし、「ニホンウナギの保全と持続的利用」という目的を考えたとき、消費者がウナギを食べる回数を減らすことや、専門店のウナギを選択することは、どのような意味を持つのでしょうか。
 
 ニホンウナギの保全と持続的利用を考えたとき、現状では消費を削減すべきです。一人ひとりの消費者がウナギを食べる回数を減らすことで、消費量が減少する可能性はあります。しかし、事実上捕り放題、食べ放題のシステムを放置したまま、個々の消費者の行動によって消費量の削減を目指すのが、持続的な社会なのでしょうか(過剰な消費)。目指すべきは、科学的な知見に基づいた消費上限の設定と、その遵守です。
 
 専門店のウナギか、スーパーやコンビニ、ファストフードのウナギか、という食べ方の選択についても、適切に設定された消費量の上限が遵守されていれば、5百円の安価なうな丼を販売するのか、または5千円の高級うな重を販売するのかという選択は、個々の経営体の経営方針の相違であり、社会が制限すべきものではないでしょう。ましてや、個人の消費行動は、一人ひとりの価値観や経済的状況が大きく影響するものです。「大切に食べよう」という気持ちの表明が、安価な商品の購入に対する非難に転じないよう、十分に気を配る必要があります。ニホンウナギの保全と持続的利用という目的を考えたとき、達成すべき目標は、資源管理の促進やシラスウナギ流通の透明化など、社会のシステムの改革ではないでしょうか。当然、この目標に近づくことを意図した消費行動の改革の呼びかけは、重要だと思います。しかし、専門店でのウナギの消費を呼びかけることは、社会のシステムの改革を意図したものと言えるのでしょうか。

知ること、伝えること

 
 社会のシステムの改革は、一般的には立法府による法整備と、行政府による運用を通じて実現されます*1 。しかし、社会には未解決の問題が多数存在するため、立法府と行政府は、これらの問題に対して優先順位をつけて対応せざるを得ないのが現実です。
 
 科学的根拠に基づいた厳密な消費上限の設定など、ニホンウナギの減少に対応した社会のシステムの変革が適切に進まないということは、現時点では、立法府と行政府にとって、この問題の重要性が低いか、または十分には高くないということを示しています。このような状況で市民が果たすことのできる役割は、ウナギの保全と持続的利用を社会問題化することでしょう。「ウナギ資源を持続的に利用したい」「違法行為によって流通したウナギを食べたくない」「河川や沿岸域の環境を、ウナギが遡上できるように回復するべきだ」という声がより強くなることによって、立法府と行政府におけるウナギ問題の優先順位を高めることができます。
 
 ウナギの持続的利用を社会問題化するためには、より多くの人がウナギの問題について知り、おかしいと思ったことについて、「おかしい」と発言することが重要です。例えば、新聞やインターネットの記事を読み、SNSで興味のある記事を紹介することも、その一つです。家族で、友人でウナギを食べるとき、ほんの少しウナギの問題について語り合ってみるだけでも、大きな効果につながる可能性があります。
 


*1 法律に依拠しない任意(voluntary)の制度である、資源管理認証制度と呼ばれるシステムも存在します。水産物に関しては、MSC(海洋管理協議会)やASC(水産養殖管理協議会)などが作成した基準に基づき、認証を受けた商品を選択して購入することによって、消費者は持続的な水産業の実現を促進することができます。残念ながら、持続性と合法性を担保されたウナギの認証は存在しません。

モニタリングに参加する

 
 現在、中央大学ウナギ保全研究ユニットは、ロンドン動物学会および日本自然保護協会と連携して、市民参加型のウナギモニタリング・プログラムを作成中です。ニホンウナギは個体群の増減に関するデータが不足しており、そのことが保全と持続的利用を推進するにあたって、大きな障害となっています。市民科学との協力により、幅広くウナギのモニタリングを行い、この問題を解決することを目指します。

「テムズ川ウナギ計画」での調査
「テムズ川ウナギ計画」の調査地例

 国際的な自然保護NGOであるロンドン動物学会はすでに、テムズ川において市民と協働して「テムズ川ウナギ計画」を進めています。この手法を日本国内へ導入し、市民参加のウナギの遡上量のモニタリングを行う予定です。ご興味のある方は、以下のリンクから詳細をご覧ください。
 


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