平成19731

文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム

「『中大・八王子方式』による地域活性化支援」に関する講評

愛知学院大学商学部教授

酒井 邦雄

 

 中央大学田中廣滋教授を責任者とする現代GP「『中大・八王子方式』による地域活性化支援」は,いくつかの点で興味深い.田中教授はこの現代GPの目的を以下のように述べている.

地域活性化あるいは地域の発展のためには,自治体と企業の地域ガバナンスが重要であり,具体的には地域のステークホルダーと良好な関係を維持することが重要である.そして,それは地域の諸問題にすべてのステークホルダーが積極的に参加,協働するシステムおよびそれを運営あるいは経営するシステムを開発することが必要である.この現代GPはこのシステム開発を目的としている.

 この現代GPは平成18年度で終了し,理論的にも実証的にも多くの成果を上げていると思う.

1に,出版物だけでも,13冊に達している.その内訳は著書3冊,雑誌2冊,報告書8冊である.

2に,その内容に関しても,いくつかの注目すべき成果を上げている.

(1)      地域政策の観点から,重要な問題提起をしている.それは,地域問題にすべてのステークホルダーを参加,協働させるための工夫がなされていることである.地域環境診断として「ちぇっくどう」をつくり,これを診断する環境診断士を養成し,多くの住民が参加する環境診断をおこなっている.八王子市,日野市,岩手県の紫波町の行政の積極的参加に成功している.このように,地域問題に多くの住民の関心を引き起こし,参加させる工夫としての『中大・八王子方式』は,地域政策として新しい地平を切り開く第一歩を踏み出している.

(2)      「ちぇっくどう」の開発,工夫は今後の環境診断の方式として大きな影響を与えるだろう.二酸化炭素を中心とする排出ガス規制が,今後より重要になり,その排出削減に家庭の役割が重要である.その排出ガスの削減に,興味をもち,それが簡単に測定されるということになれば,排出ガス削減に結びつくだろう.「ちぇっくどう」は多くの環境指標からなるが,簡易版も作成されていて,簡潔で適切な環境診断指標となっている.環境指標を考える多くの自治体はこの「ちぇっくどう」を参考にし,それぞれの環境指標を作成するだろう.

(3)      教育の観点からも素晴らしい成果を上げていると思う.田中ゼミのゼミ生及び大学院院生を中心として,「ちぇっくどう」の開発,八王子市での環境診断,日野市の環境基本計画への参加等がおこなわれた.学生のレポートよれば,問題の把握だけでなく,コミュニティへの参加,協働の意義に関し次第に理解が進んでいくことがわかる.

(4)      今後の課題としては,環境以外の地域政策に関して,ステークホルダーの参加,協業をいかに育成していくかであるだろう.

 

 

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