ホーム > 学生之声 > 旧「学生之声」目次 > イベント報告 【麻生晴一郎講演会 北京のアンダーグラウンドを歩く 〜速報〜】
 5月30日に行われた講演会は、専攻の学生だけでなく、他専攻・他学部の学生、教員、外部の方の参加によって大盛況のうちに終了しました。その後、参加できずに残念だったと言う声がちらほら聞かれたので、今回は熱気が冷めないうちに、速報版として様子をお伝えすることにしました。

 報告は、麻生さんの学生時代の友人であり、当日の司会を務めてくださった中国言語文化専攻の榎本泰子先生です。

麻生晴一郎氏は、学生時代にハルビンの旅館で財布を盗まれ、帰りの旅費を稼ぐために「不法就労」を強いられたことから、中国人と本音の付き合いをするようになった。

その体験は著書『こころ熱く無骨でうざったい中国』(情報センター出版局、2004年)や、『北京芸術村』(社会評論社、1998年)などに詳しい。

1980年代後半から今日までの激動する中国の姿を、現地に50回以上も足を運ぶことによって見つめ続けてきた。

 

今回の講演で、麻生氏はまず自らが接してきた中国人を「辺縁bianyuan」の人々であると位置づけ、メディアなどで紹介されやすい「官方guanfang」と対立するものとしてとらえた。

「官方」が中国共産党の支配化にある大多数の人民であるとすれば、「辺縁」の人々はまさに辺境や郊外に存在し、体制とは無縁の独自のライフスタイルを送る人々である。

麻生氏は北京郊外でモダンアートやロックを志す若者たちの素顔を多くの画像で紹介しながら、1989年の天安門事件以降の人々の価値観や生活様式の変容についても解説を加えていった。

麻生氏がこれらの「アンダーグラウンド」で活動する人々との関わりを深めたのは、「中国という全体よりも、個としての中国人の具体的現実」に触れたかったからであるといい、一人ひとりの人間としての彼らに、自分とも共通する価値観を見出したからだった。麻生氏はテレビ番組の制作や新聞記者としての経験から、こうした個人の声が、例えば「反日デモ」のようなセンセーショナルな報道にかき消されてしまうことを憂えている。

麻生氏は、メディアや政府によって作られた「政冷」や「嫌中」、さらには「日中友好」のようなお仕着せの価値観を乗り越えようと熱く訴えた。日本人たる自分が求めるもの――自由、民主、文化、スポーツなど何でもいいが、それを同じように愛し、心から求めている中国人がいるかもしれない。そうした共通の価値観こそが、私たちが彼らに関心を持ち、つながっていけるきっかけになるのではないか……と麻生氏は締めくくった。


写真撮影: 03年度生・則本友紀子さん、同・岡崎恵美さん、同・大西七歩さん

 (2006年5月30日開催)


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