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ホーム > 学生之声 > 【イベント報告】小牟田哲彦氏講演会「旅行ガイドブックが語る中国旅行の歴史」(14年6月2日開催)

   戦前・戦後の中国旅行ガイドブックなど(一部当日の講演会で使用)
 2014年6月2日、作家の小牟田哲彦さんによる講演会「旅行ガイドブックが語る中国旅行の歴史」を開催しました。小牟田さんは『鉄馬は走りたい――南北朝鮮分断鉄道に乗る』(草思社、2004年)や『鉄道と国家――「我田引鉄」の近現代史』(講談社現代新書、2012年)など、日本および東アジアの鉄道や近現代交通史に関わる多数の著作で知られています。実地踏査と膨大な資料に基づく緻密な論考で定評ある著書さながらに、講演もA3で23枚に及ぶ配布資料に基づいて進められました。大正時代の『朝鮮満洲支那案内』など戦前の珍しい資料から、現代の『地球の歩き方』までさまざまなガイドブックを対象とし、日本人が中国に対してどのようなイメージを持ち、何を求めて旅行したのかを解説してくださいました。当日は150人教室がほぼ満席となる盛況で、鉄道ファンらしい一般参加者の姿も目を引きました。 
   満州鉄道の特急列車「あじあ号」絵葉書

以下、当日のアンケートから学生の声を紹介します。

 ガイドブックに書かれたちょっとした見出し、料金、内容からその時の人々の中国に対する意識、国の姿勢、著者の立ち位置を深読みすると、ここまで多くの情報を読み取ることができるのかとおどろかされた。中国の文化の研究というと、ものものしい資料を使って、大きなテーマを掲げるイメージが強かったけれど、自分の興味のあるちょっとしたものの中に研究に通じる何かがある可能性が高いと思えた。4年生に向けて中国を勉強する新しい見方を得ることができた。(専攻3年女子)
   現在の中国高速鉄路「和諧号」
 明治末から昭和初期で最も人気であったツアーは「戦跡めぐり」であることを知った。今でも戦争の傷跡を回るツアーはあると思うが、それは戦争のいたましさを実感するためである。しかし、当時は「戦争に勝った」という誇りを実感し、楽しむために回っていたと聞いて、現在との考えの違いを知った。今でこそそれはおかしいと思えるが、もし日本が後の戦争にも勝っていたら、今でも当時と同じような考え方だったかのかもしれないと思った。(中略)これらのような歴史だけでなく「当時の地名を知ることは歴史史料を探すのにも役立つ」ことや、「旅行ガイドブックも行間を読むと学問になり得る」など、自分のこれからの学習のためになることをおっしゃっていてとても勉強になった。「旅行」というのは一見すると趣味だが、考え方次第で立派な研究にもなるのだと思った。(専攻3年女子)
小牟田哲彦氏著書(中国言語文化研究室所蔵)
 一番聞いていて興味を持ったのは、小牟田さんの学生時代の中国旅行の体験談です。財布を持たずにお金を直接服の中に入れるなど中国人のスタイルを真似して、駅で切符を買う時には行列の順番が守られないので大きな体と声で強引に切符を勝ち取る中国人のやり方にならったとおっしゃっていました【注:かつて存在していた高額な「外国人料金」の適用を免れるため】。日本では一切見られない光景であるのですごくびっくりしました。(中略)テレビで放送されている中国の特集を見ると、あまりよくない部分が目立ってしまって、正直いいイメージが持てていなかったのですが、今日の講義を聞いて印象が変わりました。中国にも古代の歴史を象徴するものなど興味深いものがたくさんあるので、ぜひ旅行してみたいと思いました。一方的な見方だけでは偏見になりがちだろうし、そのようなことをなくすには直接自分で行ってみて肌で感じて、現地の人と現地の言葉で話すことから始まると思います。まずは行ってみることから始めようと思いました。(専攻1年女子)
 日本と中国の文化が違うところがあり、私も日本文化に興味があったから日本に来ました。ですからぜひ日本人も中国に旅行に来てくださいという思いがあります。自分の目で見て、お互いに交流して、理解も深くなれます。新聞を読んで信じているだけではなくて、実際の中国人に会って話し合いましょう。(中略)鉄道は中国を旅行するのにもっとも便利だし、もっとも本当の中国を見ることができる一つの方法と思います。今中国の鉄道の施設やサービスは、正直に言うと日本とは差がありますけど、中国ならではの魅力を持っていると思います。(教育学専攻中国人留学生)