美術史美術館コース[2017年新規開設]では、美術の歴史をたどる「美術史」、美術館の歴史と現在を知る「美術館」について初歩から学び、その証として学芸員資格を取得して社会に出ることをめざします。


学ぶ内容

‣美術史:フランスを中心とする西洋美術史を中心に、美術の歴史を学びます。

‣1点1点を「名作」として鑑賞するのではなく、その作品が他の作品とどう違うのか、その違いがどこから生まれるのか(それは美術家の個性とは限りません)、ということを考察する学問です。そのために必要な、作品を「観察する」技法も身につけます。

‣美術館:東京は世界有数の美術館都市です。周辺とあわせて200館を越える美術館群をもうひとつのキャンパスとして学びます。

美術館という施設にはさまざまな種類があり、活動の内容もいろいろです。美術と社会をつなぐ接点としての美術館がどんな歴史を経て生まれたのか、いまどんな課題に直面しているのか、これからどうあるべきなのか、といったことを知り、考えます。

‣学芸員資格課程:この資格は、学芸員を目指す以外にも、大学で美術史・美術館について専門的に学んだ証明として役立てることができます。コースのカリキュラムが学芸員資格課程と一部リンクされており、学修内容と併せて他の専攻に比べて負担が軽くなっています。

学ぶ意味

‣美術史:人気の展覧会が数十万人の観客を集めているのを見ても分かるように、美術に触れ、深く知りたいという願いは社会にしっかり根づいています。しかし、描く側の視点や好き嫌いの視点とは別に、美術の流れや社会とのつながりという美術史の観点を知ることで、これまで興味が向かなかった作品に目を開かれ、与えられた情報以上に自分で考え発見することの面白さを知ることができます。こうして美術という豊かな分野を深く、積極的に楽しめるようになると、日常生活から旅先まで、美術との触れ合いがいっそう充実したものになります。また美術作品について趣味的にではなく客観的に語る能力を身につけることは、コミュニケーションの技法としても間違いなく有益です。
美術館:現代の美術館は作品を展示して観客をただ待つのではなく、積極的に社会に働きかけようとさまざまな努力をし、知恵を絞っています。その成果は建築や施設から各種の催しまでいろいろな形で現れており、それらを知ることで美術館訪問が格段に楽しくなります。そして美術館を知ることは、社会にとって、そして私たちが生きていく上で美術(art)とはなんなのか、どんな意味があるのかということも考えさせますから、結局はあなたの人生を充実させるために何が必要かを見つめさせることになるでしょう。
学芸員資格課程:学芸員は、美術と社会をつなぐ仲立ちの役割を果たす専門家です。どの分野の専門家もそうであるように、学芸員は好き嫌いを超えた客観的で広い視野から美術を見ることができなければなりません。その専門家になる資格をもつということは、一般の社会でもさまざまに生かすことができます。詳しくは「学芸員資格」のページをご覧ください。

見ることを学ぶ

‣学ぶ意味について、もう少し補足しましょう。下の写真は、ルーヴル美術館で学ぶ若者たちの様子を撮影したものです。観察しているのは、17世紀のフランス古典主義絵画を代表する画家ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin 1594-1665)の作品です。日本では「美術を学ぶ」というと制作を学ぶことを意味しますが、欧米では「作品を見ること」を早くから学びます。それは単に与えられた解説の通りに作品を受け取ることではなく、自分の目で作品に何かを発見する方法を学ぶことです。「見る」とは本来、そうした能動性を秘めた能力なのです。
しかし、ただ目を向けただけではその能動性は発揮されません。そこに、「見かた」を学ぶ必要性があります。「見ること」を学ぶことで、今まで「見えていたのに見ていなかったもの」が次々と作品の中に見つかることでしょう。そしてその体験はあなたの思考を活気づけ、次の作品へと向かわせるはずです。そうなったらしめたもの。美術史美術館コースで、そんなワクワクする体験をしてほしいと思います。あなたはきっと、その体験を今度は他の誰かに伝えたいと思うことでしょう。

 
学ぶスタイル

‣ヴィジュアル・エデュケーション:美術史を学ぶ上では、知識や用語を身につけると同時に目で見て判断できることが大切です。講義、演習ではスライドを使用し、見学で実際の作品にも触れながら、本だけでは身につかない美術史の基本を学びます。この専門的な観察法は、知識と違って一生忘れません。
‣フィールドワーク:特に美術館について学ぶには、実地に出向くことが大切です。演習、ゼミでは実地見学を交えて学修を進めます。またゼミでは夏季見学旅行も行います。
‣ディスカッション:勝ち負けのためではなく、参加者の誰もが収穫を得るためにあるのがディスカッションです。演習、ゼミではディスカッションを通じてアイディアを出し合い、考えを深め、役割を果たして何かを作り上げる楽しさを知ります。詳しくは「ゼミ紹介」のページをご覧ください。

学修のストーリー

ステップアップします:大学で初めて学ぶ分野ですから、最初は誰もが初心者です。予備知識なしから出発して自分独自の収穫まで、段階を追って学修できるようになっています。なお1年次は専攻共通のカリキュラムで学びながら、「語学文学文化コース」と「美術史美術館コース」のどちらを選ぶかじっくり考えることができます。
 
 
‣系統づけられています:知識を身につけ考え方を学ぶ講義系科目と、それを元に自分で応用する演習系科目とが、それぞれ道筋をなしてつながっています。
 
‣アレンジできます:単調に学ぶわけではありません。美術史・美術館の学修と並行して、語学文学文化コースの各科目を履修してフランス語を磨きフランス文化に触れることができるほか、文学部で開講されている歴史、哲学、社会、心理、教育など多彩な分野の開講科目を興味に合わせて履修できます。
 
 〈カリキュラム図〉
 
1年次   2年次 3年次 4年次
      卒業論文
     美術史美術館専門演習
(ゼミ)
 美術史美術館専門演習
(ゼミ)
  美術史概論 美術史各論 美術史各論
フランス美術史   美術史美術館入門演習 美術史美術館演習  
西洋美術史
(学部共通科目)

学芸員資格課程科目群  

 
日本美術史
(学部共通科目)
     
仏文基礎演習      
〈専門課程への下ごしらえ〉 〈専門課程入門編〉   〈専門課程応用編〉  〈専門課程完結編〉
何をどう学ぶのか、あらかじめ
感触をつかみます。 
 美術史という分野の
見取り図を学びます。
美術史の専門的な話題に触れ、
自分のテーマを見つけます。
 専門の学修を続けながら、
教員と共に自分なりの
収穫を目指します。
フランス語の初歩を
学びます。 
美術館の世界を概観します。  ゼミで主体的な掘り下げかた、
発展のしかたを共に学びます。
 
 学芸員課程の最初の科目を
履修できます。
学芸員課程に参加します。
(2-3年次中心) 
美術館の世界に実際に
触れます。 
 
このほか文学、歴史、哲学、社会、心理、教育など文学部の多種多様な科目の中から、興味に応じて授業を履修します。
 
 

主な授業科目

‣フランス語を学ぶ:「仏文基礎演習」の週に2回の授業で、フランス語を基礎から学んでいきます。
‣美術史に触れる:1年次の「フランス美術史」が、美術史という分野の紹介を兼ねた講義です。コース選びの参考になります。
‣西洋美術の歴史を詳しく知る:「美術史概論」で美術史という学問の基礎を知り、3種の「美術史各論」講義でフランスやヨーロッパの美術の歴史をスライドで楽しく旅します
‣美術館の世界に踏み込む:「美術史美術館入門演習」で作品の観察技法を身につけ、「美術史美術館演習」では実際に美術館を訪ねて、その建築や展示法、催しなどさまざまな側面から味わい尽くします(担当教員は学芸員を予定)。
‣ともに学び合う:「美術史美術館専門演習(ゼミ)」で、関心を同じくするゼミ生、教員とともに2年間を過ごし、議論、発表、見学、卒論を通じて成長します。

国立美術館キャンパスメンバーズ

中央大学は「国立美術館キャンパスメンバーズ」に加入しており、学生証提示によって下記の3美術館に優待入館できます。あなたの学生証が、そのまま優待券になります。コースではこの制度を利用して見学を行うほか、自主的な見学にももちろん利用できます。利用回数に制限はありません。なお授業の見学先がこの3館に限られるわけではありません。

国立西洋美術館

東京国立近代美術館

国立新美術館

国立美術館キャンパスメンバーズ

入試・定員等

‣入試は専攻で一括して行われます。コース別の試験はありません。
‣コース別の定員等はありません。コースには、1年次末の希望調査に基づいて2年次から配属されます。

進路

‣社会に飛び立つ:美術の教養への社会的関心と評価には、高いものがあります。その教養は、美術館・博物館以外にも、展示施設の企画・制作・運営(例:丹青社乃村工藝社)、広告、旅行・観光、建築・デザイン、出版、各種メディア(エディター、ライター、リサーチャーなどとして)、文化政策にかかわる各種団体・公共機関、企業のメセナ(芸術文化支援)関係部門などで生かすことが期待されます。「ゼミ紹介」下部の「OBからのメッセージ」もご覧ください。
‣研究を深める:専門職(学芸員、教育職)につくために、大学院でさらに研究を深めて学位(修士号、博士号)をとる道もあります。大学院は特別な人が進学するところではありません。専門職業人として活躍したい人のための、「上級コース」です。詳しくは「大学院・留学」のページをご覧ください。

留学

‣欧米の大学・研究機関へ留学することによって、実際の作品に触れ、豊富な資料を用いて美術史を研究することができます。とりわけ専門職を目指す場合は、留学は事実上必須です。
‣フランス語文学文化専攻では、パリ・ナンテール大学、トゥールーズ大学、リヨン大学、エクス=マルセイユ大学と提携を結んでおり、長期・短期の留学を推奨しています。また留学を援助するための奨学金制度も用意されています。
このサイトの「リンク」のページで、フランス語または英語で美術史研究ができる主な大学をあげています。

関連情報

‣おすすめ展覧会などの関連情報は、Google+のゼミページに掲載しています。こちらもご覧ください。阿部ぜみ